「銃とチョコレート」
怪盗ゴディバ。彼がはじめてこの国にあらわれたのはぼくの生まれた年だった。
ある日、貴族の屋敷から『ほほえみダイヤモンド』が消えた。かわりにトランプ大の赤いカードがのこされていた。さらに半年後、大富豪の大事にしていた『かなしみ首かざり』が金庫から消えた。うしなわれた国の王女様が身につけていた首かざりだった。金庫にはふたたびトランプ大の赤いカードがのこされていた。
「銃とチョコレート」乙一著(講談社) ISBN:9784062705806
移民の少年、リンツは父の形見の聖書に隠された秘密の地図を見つける。怪盗ゴディバが盗んだ財宝の地図だ。怪盗を追う名探偵、ロイズとの大冒険が始まる。
「かつて子どもだったあなたと少年少女のためのミステリーランド」の一冊。箱に入っていて布の背表紙、ルビ付きの大きな活字。ページの角は丸くカットしてある。作り込まれた児童書の風情に、幼いころのドキドキが蘇る。怪盗、探偵。言葉の響きが、いい。
だが、だまされてはいけない。かつて子ども向けにアレンジされたバージョンで夢中になった「三銃士」。長じて文庫を読んだとき、時に陰惨なほどのエゴが描かれていて、驚くと同時に、エピソードてんこ盛りの物語性にまた驚嘆した。本作もまた、一筋縄でない影を持つ。善悪合わせもつ人の二面性、戦争や差別。けっこう深いです。
乙一著作の初体験として、良かったかどうかは、まだわからないけれど… ブロガーに評判の、イメージ豊かな挿画は平田秀一氏。(2007・2)
■銃とチョコレート 乙一 本を読んだら…byゆうき
銃とチョコレート 乙一 講談社 おいしい本棚Diary
『銃とチョコレート』 乙一 猛読酔書

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ほんとうに久々の乙一の作品。
待ちましたね、ほんと。しかも、書き下ろしで・・。
この講談社ミステリーランドのシリーズは、けっこう凝った装丁なんですが、
この本も非常に乙一らしい、ダークな作りになってます。
それを見るだけでも、面白いんですが、中身もこれまた乙一らしいものでした。
人間の、人に向けてる顔の裏にあるものが、次々と現れてくるところが
非常に乙一らしい。... [Read More]
こんばんは、TBありがとうございます。
乙一の初読みだったんですね♪次は、ぜひダーク乙一の作品を、どうぞ!!私は、けっこう好きです。
Posted by: ERI | March 10, 2007 12:53 AM
そうそう。深いんですよね。まるでオセロゲームのように人の黒白がひっくり返っていきますよね~。楽しかったです。
これが初乙一作品なんですね。ほかのもおもしろいですよ~。
Posted by: かつき | May 09, 2007 12:58 PM