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March 20, 2007

「ヤバい経済学」

選挙では不当にもお金が決定的な役割を果たすのであり、だから政治活動には大変なお金が注ぎ込まれる。
 実際、選挙のデータを見ると、選挙中にお金をたくさん使った方の候補者が普通は勝っているというのは本当だ。でも、当選した原因はお金なんだろうか?

「ヤバい経済学」スティーブン・D・レヴィット、スティーヴン・J・ダブナー著(東洋経済新報社) ISBN:9784492313657

シカゴ大の気鋭の経済学者が、ジャーナリストとの共同作業で解き明かす、世の様々な事象の裏側。昨年の話題の経済書。

犯罪から子育てまで、経済学としてはユニークな、脈絡ないテーマが並ぶ。だが視点は揺るがない。すなわち人間のあらゆる行動を支配する「インセンティブ」を測ること。何が何を引き起こしているのか? あるいは通念は本当にあるのか、ないのか? 
「相関」と「因果」を一緒くたにせず、膨大なデータを虚心坦懐に見つめる。決して耳障りの良くない、言ってしまえば「身も蓋もない」結論が目立つけれども、売り手と買い手の情報の非対称性とか、「そうだろうな」と思っていることを、身近な事例でスカッと語っている面もある。そして、良心とか希望めいたものも、決して否定はしていない。

正直言って、著者たちは頭が良すぎて、あまり友だちになりたいとは思わない感じだ。けれども、「ものの見方」を揺すられるのは、心地よい。望月衛訳。(2007・3)

174冊目 ヤバい経済学 無秩序と混沌の趣味がモロバレ書評集
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Comments

トラックバックおよび文中リンクありがとうございます。

一見雑多な話題を取り上げているようでありながら、人間の本性をインセンティブという概念で結び付けているので、筋が通っているのが魅力ですね。

それぞれの話題の面白さも加わって、知的好奇心を刺激されました。次の著書が楽しみです。

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