「雪屋のロッスさん」
最後に残った鳩が、栗を振り向く。おいでよ、という風に、首をかしげる。
栗は少し考えをこらし、
「わたしはいいわ」
朗らかにいって後ずさりしました。
「そっち行くより、街でまだすることがあるみたい。おばあさんたちによろしくいって」
「雪屋のロッスさん」いしいしんじ著(メディアファクトリー) ISBN:9784840114936
短ければ2ページに満たない短編30本でつむぐ、この世の様々な「職業」の人々。「ダ・ヴィンチ」連載の単行本化。
どれもこの作家らしい、ひとすくいの苦みが口に残る不思議な物語。思うようにはいかないけれど、どんな職業にも「誇り」はある。自分の不幸を顧みず、寒風吹く世に踏みとどまって、道行く人をほぐし続ける「マッサージが上手な」少女、「栗」のように。苦みを噛みしめつつ、ちょっと泣けてしまう。(2007・2)
雪屋のロッスさん いしいしんじ メディアファクトリー おいしい本箱Diary
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この本、装丁がなんとも可愛らしくて、おもわず
見た瞬間、レジへ。お買い上げ、でございます。
このタイトルの文字の雰囲気、微妙な色遣いの表紙、
シンプルなのに、思いがこもってます。
読むのがもったいなくて寝かせておいたんですが、(爆)
短編の一つを読みはじめたら、とまらなかった!
ミステリーじゃないのにノンストップです。
本当はじっくりゆっくり、毎日一つずつ読むのが一番いい感じなんですが・・。
イラチやからなあ・・。... [Read More]
装丁も内容も凝っていて、いしいさんらしい短編集でした。どれも、ちょっと苦くて、でもふわりとしていて、独特ですよね・・。
Posted by: ERI | February 13, 2007 01:23 AM