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February 12, 2007

「雪屋のロッスさん」

最後に残った鳩が、栗を振り向く。おいでよ、という風に、首をかしげる。
 栗は少し考えをこらし、
「わたしはいいわ」
 朗らかにいって後ずさりしました。
「そっち行くより、街でまだすることがあるみたい。おばあさんたちによろしくいって」

「雪屋のロッスさん」いしいしんじ著(メディアファクトリー) ISBN:9784840114936

短ければ2ページに満たない短編30本でつむぐ、この世の様々な「職業」の人々。「ダ・ヴィンチ」連載の単行本化。

どれもこの作家らしい、ひとすくいの苦みが口に残る不思議な物語。思うようにはいかないけれど、どんな職業にも「誇り」はある。自分の不幸を顧みず、寒風吹く世に踏みとどまって、道行く人をほぐし続ける「マッサージが上手な」少女、「栗」のように。苦みを噛みしめつつ、ちょっと泣けてしまう。(2007・2)

雪屋のロッスさん いしいしんじ メディアファクトリー   おいしい本箱Diary

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Comments

装丁も内容も凝っていて、いしいさんらしい短編集でした。どれも、ちょっと苦くて、でもふわりとしていて、独特ですよね・・。

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