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January 21, 2007

「チーム・バチスタの栄光」

 ついでに言えば、俺はグッチーと呼ばれている、らしい。こちらも、面と向かって言われたことがないので確かではない。高級ブランドが似合う二枚目だからということではなく、俺がファッションセンス・ゼロであることに対する揶揄がこめられているようだ。巷では、俺がかつてグッチとシャネルの区別がつかず間違えたというエピソードがその由来だと囁かれている。しかしこのウワサはまるきりのデマだ。
 俺だってシャネルくらいはわかる。間違えたのは、グッチとエルメスだ。

「チーム・バチスタの栄光」海堂尊著(宝島社) ISBN:9784796650793

バチスタ手術チームに発生した連続術死。医療過誤か、殺人か。第4回『このミステリーが凄い!』大賞受賞。

ブロガー絶賛のエンタテインメント作をやっと読んだ。評判通りの読後感。第一部は「愚痴外来」の昼行灯、田口医師を語り部に引っ張っておいて、第二部から「伊良部一郎」ばりの変人厚労省技官、白鳥を投入。長編の半ばになってもう一人、主人公の探偵が加わる荒技の構成がまず、意表をつく。

2人とも、陽のあたる出世街道を自ら好んで外れておきながら、賢くて真っ当な正義感があり、実は本当の権力者には一目置かれていたりする。ドラマ「相棒」ばりに、人物の魅力は十分だ。しかも2人が時間差で登場したことで、疑惑の手術チームに対する「事情聴取」を2回繰り返すことになり、1回目との印象の違いによって、それぞれの人物像のあやを巧妙に浮き上がらせた。

舞台は大学病院。お約束の「白い巨塔」での権力闘争に、独立行政法人化とかリスク管理といった現代風のスパイスを加え、さらに華やかな「バチスタ手術」をトッピング。現役医師が著者とあって、医療知識が骨組みになってはいる。
しかし、面白さの本領はそういう専門性ではなく、もっといえば犯人捜しでさえなく、言葉のキャッチボールなのかもしれない。繰り返される事情聴取では、怪しげな心理理論で読者を煙に巻きつつ、「対話の妙」を駆使してそれぞれの内面をあぶり出す。それから、ミステリーとしては全く本題ではない、会議や記者会見の場面も見逃せない。やはり言葉のキャッチボールを通じて群集心理を操り、いつのまにか狙った結論に導いていく過程が痛快だ。

一つ間違えると、こういう会話劇は独りよがりになりがちで、解説口調が鼻についてしまうと思う。それを微妙なバランスで防いでいるのは、長編を飽きさせない緩急のリズムと、随所に散りばめられるユーモアだ。落語のようで、ちょっと老成した感じさえする。この達者さは並大抵ではない。すでに主役の田口・白鳥コンビはシリーズ化しているが、あえて言えば今後、テーマに共感できる「深み」が加わるかが注目だろうか。(2006・12)

★追記 08年映画化。

「チーム・バチスタの栄光」海堂尊  本を読む女。改訂版
「チーム・バチスタの栄光」 lie to rye 
◎◎「チーム・バチスタの栄光」 海堂尊 宝島社 「本のことども」by聖月
海堂尊「チーム・バチスタの栄光」 ぱんとら日記
「チーム・バチスタの栄光」海堂尊   読書とジャンプ


 

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» ◎◎「チーム・バチスタの栄光」 海堂尊 宝島社 1680円 2006/2 [「本のことども」by聖月]
 宝島社も、この際、“このミスの決定にあたって、自社出版物は公平を期すため集計からはずす”という紳士的な姿勢をやめたほうがいいだろう。そうでないと、次回のこのミス第1位作品が、集計からはずした自社出版物より面白くないという、とんでもない現象が起きる惧れがある。本書はそれだけ並外れたエンタメ性を持った娯楽小説である。評者的には、例えば伊坂幸太郎の『砂漠』のほうが好みだが、誰かに“間違いなく面白い本を紹介してよ”と言われたならば、深く考える必要もなく、本書『チーム・バチスタの栄光』を薦める。とにかく、万... [Read More]

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