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January 01, 2007

「未完成の友情」

「人間はどこまで行っても一人だろ? だからおまえたちも仲よくしないといけんぞ」
「仲がいいがね。なあ」
 月坂は賛同を求めた。

「未完成の友情」佐藤洋二郎著(講談社) ISBN:4062136341

親友と、かつて甘酸っぱい思いを寄せた女性との、長い歳月。懐かしい手触りがする、大人の私小説。

幼い日の出会いから別れまで、出来事を丹念にたどる。大人の階段を上った新聞配達の体験。朝の坂道を、自転車で駆けていく爽快さ。平易な語り口の、ありふれた情景の一つ一つが、繊細な光を放つ。

互いの欠けているところを十分わかり合った関係。傷つけないように、裏切らないようにしてきたけれど、人間だから、はっきりと口に出さないわだかまりはある。中年期を過ぎて、その意味を知ったときの苦い後悔。でも、それぞれが自分の前にある道を歩いていくしかない。生きることの孤独が、しみじみと胸に広がる。(2006・12)

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