「いまこの国で大人になるということ」
人間は遺伝子だけの乗り物なのではない。文化を運ぶ情報、すなわち「ミーム」の乗り物でもあるのだ。乗り物というよりも、二種類の生地が織りなすタペストリーのようなイメージの方が近いかもしれない。(略)遺伝子とミームのギャップ。二十一世紀に生きるぼくたちは、このはざまで右往左往している。
「いまこの国で大人になるということ」苅谷剛彦編著(紀伊國屋書店)ISBN:4314010053
社会学、経済学、生物学など気鋭の識者16人が、現代ニッポンの大人になることの困難さを論じる。
だいたい1960年前後の生まれで、雑誌などで活躍する論者がきら星のごとく揃い、同一テーマで執筆しており、視点のバリエーションが豊富だ。ニート対策や晩婚化などについては、社会問題としての議論が一巡した感があってさほど新鮮ではないし、著者それぞれが末尾に発する若者への励ましやメッセージには、気恥ずかしい感じも受ける。
しかし景気がよくなったからといって、「個人の気の持ちよう」といった構造は、そうそう簡単にすっきりするものではない。改めて考え方を整理し、なにがしかヒントを得られる一冊。(2006・11)
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