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December 30, 2006

「町長選挙」

「それで人間関係に悩むわけ? めでたい人だなあ」屈託なく笑って言った。「何をしたって一年と少しでアカの他人じゃん。ぼくならモヒカン刈りで役場に通うね」
「そんな、むちゃな」
「一度やってみたかったことをやればいいのよ。出向の恥はかき捨てって言うじゃん」
「言いません」

「町長選挙」奥田英朗著(文藝春秋) ISBN:4163247807

トンデモ精神科医、伊良部が活躍する痛快ユーモアシリーズ第3弾。

前2作同様、いかにも現実にいそうな現代人が様々な心の病を抱え、伊良部のもとを訪れる。4編を収録。表題作の「町長選挙」だけはちょっとパターンを変え、伊良部が心ならずも離島に赴く。そこでは実弾飛び交う、絵に描いたような「田舎選挙」が繰り広げられていた…。

永年の政敵同士、島を二分して角つき合わせるものの、キャスチングボードは老人会が握っていて、幹部たちもご老人にめっぽう頭が上がらない。そんなコミカルな構図のなかで、期待に違わず伊良部は脳天気な言動をとり、話をどんどんややこしくする。けれど、やっぱり真実を見抜いているのだ。それは、何が人を幸せにするのか、ということ。爽やかさが胸に残る、上質のエンターテインメント。(2006・11)

◎◎「町長選挙」 奥田英朗
「町長選挙」奥田英朗

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