« 「昭和史 戦後篇」 | Main | 「偽装報告」 »

September 15, 2006

「予知夢」

「予知、ということか。それでオカルト事件担当の草薙俊介刑事にお呼びがかかったんだな」助手席で湯川学が皮肉った。シートをいっぱいに倒し、長い脚を組んでいる。アルマーニの黒いシャツを着て、黒いサングラスをかけていた。どこから見ても物理学者には見えない。

「予知夢」東野圭吾著(文春文庫) ISBN:4167110083

気鋭の物理学者、湯川が、同級生の草薙刑事が持ち込む難事件を謎解きしていく。直木賞受賞の名作「容疑者Xの献身」に先立つ、〈探偵ガリレオ〉シリーズの第二短編集。

旅先でやっと読めた。さほど厚くない文庫に、お楽しみがぎゅっと詰まっている。霊視やポルターガイストなど、オカルトめいたトリックや事件の背景を、科学の眼で解きほぐす過程がまず痛快。
加えて湯川の造形が魅力的だ。頭が切れて、皮肉屋。しかし実のところ、犯罪にかかわってしまった人々の悲しさ、愚かさを、実に繊細にとらえている。決してくどくどと語るわけではないのだが。なかでも町工場の経営者夫婦の機微を描いた「絞殺(しめ)る」は泣かせる。(2006・8)

「予知夢」 東野圭吾

にほんブログ村 本ブログへ

« 「昭和史 戦後篇」 | Main | 「偽装報告」 »

Comments

Post a comment

Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.

(Not displayed with comment.)

TrackBack


Listed below are links to weblogs that reference 「予知夢」:

« 「昭和史 戦後篇」 | Main | 「偽装報告」 »