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April 30, 2006

「雨にぬれても」

「毎日、ここに来てるんですか?」
「まさか、月に五回くらいだよ」彼はレモンハイをぐっとあおって、こちらを向くと、ニッと笑う。「これがまた、いいんだ。朝酔っぱらって帰って寝るのがね。とりあえず今は幸せって気分でいられる」

「雨にぬれても」上原隆著(幻冬舎文庫) ISBN:4344406532

コラム・ノンフィクションの第三弾。

社長の自殺とかDVといった重いテーマも、はたまた駅前商店街の大衆食堂で朝から酒を飲む人たちの生態も、あくまで並列に、淡々と描いていく。だからこそ、悲劇は誰の身にも起こりうるのだという当たり前の事実や、とるに足らない日常のかけがえのなさが、胸に染みる。こういう作品を淡々と書いていくのは、かなりタフな精神がいることだろう。中には取材しようとしたけれども、空振りになっているものもあって、著者が困ったりするシーンまで目に浮かんできて、興味深い。(2006・4)

上原隆の「雨にぬれても」。
雨にぬれても/上原隆

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