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April 08, 2006

「孤宿の人」

「八太郎という子の見た鬼は、本物の鬼だったろうよ。しかし加賀さまとは関わりない」
「なんでそう言い切れるんです?」
「人の目に映る鬼は、その者の目のなかに棲んでおるからだ。だから追い出すのが難しい。追い出してしまうことを良しとばかりも言えぬ。わしら坊主は苦労する」

「孤宿の人」宮部みゆき著(新人物往来社)ISBN:4404032579 ISBN:4404032587

恐ろしい所業で鬼と畏れられた罪人、船井加賀守守利が江戸から流されてきて以来、四国・丸海藩では不幸な出来事が相次ぐ。まるで、鬼にたたられたように。しかし、無垢な心をもつ少女、ほうは加賀のそばに仕えて、その心に触れていく…

上下巻、たっぷり時間をかけて「不吉」の意味を一つ一つ解きほぐしながら、終盤のスペクタクルへと盛り上げていく。いつもながら、粘り強い筆力がさすがだ。

大きな災厄に見舞われたり、思い通りにならない人生に直面したりすると、人は時として筋の通らない理屈にすがってしまう。それが群衆となれば、なおさらのこと。だが、曇りのない強い心を持てば、見えてくる「本当」がある。たとえ、それによってもたらされる結末が、切なく悲しいものであっても…。(2006・1) 

孤宿の人(宮部みゆき)
弧宿の人(上・下) 宮部みゆき 

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讃岐国丸海藩を舞台に繰り広げられた時代長編ミステリー。 藩は、幕府の罪人・加賀殿を預る事となったが、その責任は重く、ともすれば藩の崩壊にも繋がりかねない。 一方、町では、奇妙な出来事や病気が多発し、不穏な空気が止むことは無かった。 まだ幼い下女である「...... [Read More]

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