「へんな会社」のつくり方
小学生同士が野球で遊ぶときに、「生産者と消費者」とか、「上司と部下」とか、「ルールを作る人と守る人」といった非対称な関係はありません。生産者だけが情報を知っていて消費者には知らされない、といったこともありません。(略)
こういう子どものこころ、遊びのこころを持つことは、インターネットがもたらす変化に対する最大の防御であり、最大の攻撃手段ではないでしょうか。
『「へんな会社」のつくり方』近藤淳也著(翔泳社) ISBN:4798110523
新興IT企業「はてな」の若き創業者が綴ったブログと、インタビューで構成するマネジメントの実像。
「開発合宿」や別の会社との「交換オフィス」など、仕事に刺激を与えるユニークな手法が次々明かされる。注目されるベンチャー経営者というイメージを覆して、語り口の飾り気の無さ、気負いの無さがまず印象的だ。そして、何か芯の通ったもの、タフな思考とでもいうべきものが伝わってくる。
例えば「超オープン経営」。まずサービスを提供してしまう。必ずしも完成度が高くなくても構わない。そしてユーザーからの要望をどしどし受け付け、それを採用して実現する場合も、見送る場合も、どう検討したのか、経過をちくいち公開する。
超オープン経営で会社が必ず成功するかと問われれば、答えは否だ。たぶん、はてなにこの先、逆風が吹くこともあるだろうし、この手法を一般的な消費財のビジネスや、規模の大きい会社にそのまま当てはめることはできない。だが、来るべきネット社会の一面を予感させることだけは確かだ。(2006・3)
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