「働きすぎの時代」
男女の働きすぎに関連していま一つ指摘すべきは、共働きの増大による「カップル労働時間」(夫婦の合計労働時間)の増大と、それにともなう職場生活と家庭生活における「タイム・デバイド」(時間格差)の拡大である。
「働きすぎの時代」森岡孝二著 (岩波新書)ISBN:4004309638
企業社会をみてきた経済学者が、世界を覆う「働きすぎ」の構造に迫る。
全国紙の読者投稿から海外の文献までを幅広く引用しており、働くことを取り巻く環境の変化をわかりやすく整理できる。国際競争やネット経済の広がり、そして雇用の非正規化。特に、必死に働いてどんどん消費する人々の「競争心理」こそが、誰か別の人の長時間労働を導くという働きすぎの連鎖を指摘しているくだりが興味深い。人を働きすぎに追い込む要因は今や、単純な企業の責任に帰せるものではなく、いく層にも重なり絡みあっているのだ。
巻末で個人や労組、政府に向けて、働きすぎに歯止めをかける方策を提言しているが、それを読む限り課題はあまりにも多いと言わざるをえない。著者が触れているような、ワークライフ・バランスの達成を真剣に考えなければ、やがて経済、社会の持続性が脅かされるであろうという意識を、どれほど多くの人が共有できるか。そこが意識の転換への第一歩なのかもしれない。(2005・11)
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