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November 03, 2005

「阿片王」

日本の高度経済成長のグランドデザインは、かつての満州国を下敷きにしてなされたような気がする。時の総理大臣として、高度経済成長に向け号砲を打ったのは、将来の総理大臣を嘱望される阿部晋三の祖父の岸信介である。その岸が産業部次長として満州に赴任し、満州開発五カ年計画を立て満州国の経済政策の背骨をつくって、後に「満州国は私の作品」と述べたのはあまりにも有名である。

「阿片王―満州の夜と霧」佐野眞一著(新潮社) ISBN:4104369039

満州立国の謀略に関わり、裏社会と渡り合ってアヘン取引で巨額の資金を捻出した怪人、里見甫の人脈を、関係者遺族への聞き取りや幾多の回顧録を駆使してたどる。
小説「かわうその祭り」のモチーフともなっていた満映や阿片。共同通信、電通のルーツなど、戦後日本の構築につながる満州の役割が縦横に語られ、興味深い。もっとも対象の闇が深すぎるのか、400ページを超す長編をもってしても、この人造国家の構造や意味は、なかなか明らかにはならない。むしろ、里見周辺の無名の人物が戦後たどった運命の虚しさ、わびしさが印象に残る。(2005・11)

満州の深い闇~「阿片王」に描かれたもの

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Comments

 トラックバック、ありがとうございました。書かれているように、緻密で冷徹な佐野氏自身、深すぎる闇に戸惑っているのが窺えました。

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