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November 06, 2005

「下流社会」

 団塊ジュニアは、郊外育ちが大量化した世代である。彼らにとっては郊外が故郷なのだ。
 しかしそうなると、地方から東京に出て、いっちょ頑張ってやろうという気力は不要になる。郊外ならすぐ都心に出てこられるじゃないかと思うかもしれないが、小中学校がずっと郊外の公立だと、大学生になってようやく都心に出たという者は少なくない。それどころか、大学も郊外に移転しているので、大学生になっても都心にあまりでない者も珍しくない。(略)こうして、いわゆるジモティが誕生する。ジモティは、郊外という「村」で気楽に過ごしたいという価値観の若者であると言える。

「下流社会―新たな階層集団の出現」三浦展著(光文社新書)ISBN:4334033210

団塊論や「郊外社会学」で知られるマーケティングアナリストが分析する、階層社会の実相。
階層論はここ数年、経済的な格差の有無や、その格差の固定化、固定化を生む教育格差の有無、といった風に進んできたように思う。そして最近、実際の格差というよりも、格差を是認してしまう気分、つまりは希望の格差が話題にのぼるようになった。著者は、生まれながらに豊かだった世代で、働く意欲や学ぶ意欲が衰退するのは当然だとしたうえで、それでもハードに頑張る人と、そうでもない人とを分けるものは何なのか、を独自の調査をもとに考察していく。
書名のネーミングはちょっとあざといし、そもそも階層が階層を生むという論理には出口の無さがつきまとってしまう。しかし今、目をそらすことができないテーマの一つであるのは間違いない。何より、この本がヒットしているという現実が、時代の空気を映している気がしてならない。(2005・11)

『下流社会 新たな階層集団の出現』 三浦展著 光文社新書 780円+税

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