「イン・ザ・プール」
「次は火炎ビンにしようね」
「何を言ってるんですか」
「治療、治療。あははは」
適当な感想が思いつかなかった。
みんなが伊良部のようなら、きっと地球上の悩み事の大半は雲散霧消することだろう。
くそお。呑気を独り占めしやがって。
「イン・ザ・プール」奥田英朗著(文藝春秋)ISBN:416320900X
トンデモ精神科医、伊良部シリーズの第一作。
直木賞受賞の第二作「空中ブランコ」と比べると、まだ勢いがいまひとつの感じはあるが、楽しく読めてスカッとする。連作の中では特に「いてもたっても」が痛快。登場するのは、火の元が気になって仕方ないルポライター。誰だってどこかしら、不具合や故障を抱えている。それと、うまく付き合っていくのが、人生の妙かもしれない。ありきたりな解決策に至らないからこそ、読後感がよいのだろう。映画化に期待。(2005・5)
« 「かわうその祭り」 | Main | 覚え書き »
TrackBack
Listed below are links to weblogs that reference 「イン・ザ・プール」:
» 奥田英朗『イン・ザ・プール』 [itchy1976の日記]
イン・ザ・プール文芸春秋このアイテムの詳細を見る
今回は、奥田英朗『イン・ザ・プール』を紹介します。本書は、患者よりも変で無邪気な精神科医伊良部一郎と変な症状で悩める患者との話である。患者よりも変わっている伊良部の言動や行動が笑える。患者も半分はあきれ返っている。無茶苦茶なんだけど、結局患者の症状は回復していくわけだから、優秀な医師なんでしょう。
5つの短編の概略
イン・ザ・プール:水泳依存症の話
勃ちっ放し:陰茎強直症の話
... [Read More]
» 『イン・ザ・プール』 [美肌のための健康まにあ生活]
以前書きましたが、テスト前活字中毒に陥ってます…。テスト勉強の息抜きに借りたつもりがこっちにばかり集中してしまう。『イン・ザ・プール』/奧田英朗友達に面白いよって言われたので借りました。実は大大大先輩です。出身高校が同じです。直木賞取ったときは図書館に...... [Read More]
« 「かわうその祭り」 | Main | 覚え書き »
Comments