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May 29, 2005

「太りゆく人類」

世界のどこをさがしても、肥満に免疫のある文化はない。世界保健機関(WHO)は、過食こそが世界で「もっとも急速に広がる栄養失調の一種」であると警告する。

「太りゆく人類」エレン・ラペル・シェル著(早川書房)ISBN:4152085096

米国のジャーナリストが追及する肥満の実情。
冒頭に描かれる「胃のバイパス手術」の模様がショッキングだ。人工的に食欲を抑えようとする施術は、暴力さえ感じさせる。それほどに、人と太り過ぎとの戦いの最前線は熾烈ということか。肥満遺伝子の存在を突き止めようとする科学者の競争や、南の島に押し寄せる飽食の現実など、一見ばらばらなルポが共通して描き出すのは、人を必要以上に太らすことも、必死に痩せようとすることも、様々なビジネスと密接に結びついているという現実だ。個人の努力でライフスタイルを修正することは、容易ではない。小手先の医療費削減の論議をするなら、何か先に、もっと抜本的に考えることがあると思わせる一冊。栗木さつき訳。(2005・5)

太りゆく人類―肥満遺伝子と過食社会 ハヤカワ・ノンフィクション

May 08, 2005

覚え書き

このところ書き留めていなかった本をメモしておきます。

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May 05, 2005

「イン・ザ・プール」

「次は火炎ビンにしようね」
「何を言ってるんですか」
「治療、治療。あははは」
適当な感想が思いつかなかった。
みんなが伊良部のようなら、きっと地球上の悩み事の大半は雲散霧消することだろう。
くそお。呑気を独り占めしやがって。

「イン・ザ・プール」奥田英朗著(文藝春秋)ISBN:416320900X

トンデモ精神科医、伊良部シリーズの第一作。
直木賞受賞の第二作「空中ブランコ」と比べると、まだ勢いがいまひとつの感じはあるが、楽しく読めてスカッとする。連作の中では特に「いてもたっても」が痛快。登場するのは、火の元が気になって仕方ないルポライター。誰だってどこかしら、不具合や故障を抱えている。それと、うまく付き合っていくのが、人生の妙かもしれない。ありきたりな解決策に至らないからこそ、読後感がよいのだろう。映画化に期待。(2005・5)

奥田英朗 著「イン・ザ・プール」

イン・ザ・プール

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