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December 29, 2004

「私は、産みたい」

「何で分かってくれないの、バカ」
「バカはお前だ」
「もう離婚しましょう」
「ああ、離婚だ」
激昂した私は、感情に任せてテーブルをひっくり返していました。

「私は、産みたい」野田聖子著(新潮社)ISBN:4104729019

永田町でスポットライトを浴びる女性国会議員が、知られざる不妊治療の苦闘をつづる。
ひとりのワーキングウーマンとして、職場での無理解や、仕事に対する責任感に煩悶する。一番分かってほしい夫とも、なぜか思いがすれ違う。赤裸々に語られる辛い日々は、ときに極めて現代的な事象にみえる。だが、そうだろうか。根っこにあるのは、おそらく誰もが、いつの時代にも経験しうる、親となることの重さなのだろう。壁に向き合う現在進行形の恐れと情熱が、読む者の共感を誘う。(2004・12)

私は、産みたい / 野田聖子

December 20, 2004

本好き大賞!

「本好きPeople」のTB企画、駆け込み参加してみます。
といっても、今年はあまり小説を読んでいなくて・・

「空中ブランコ」奥田英朗著(文芸春秋)
「図書館の神様」瀬尾まいこ著(マガジンハウス)
「犯人に告ぐ」雫井脩介著(双葉社)

「幻夜」も「臨場」も「絵描きの植田さん」も好きですが、私にとっては新しい作家に一票、としてみました。
さあ、皆さんの推薦本を読むのが楽しみ!


本好きPeople: TB企画 「本屋大賞ならぬ、本好き大賞!(ただし賞品はナシよ)」

結果です! ↓
本好きPeople

「図書館の神様」

「一応しなくてはいけないことは終わったので、今日は川端康成について調べたいのですが、よろしいですか」
「どうぞ」
冗談で言っているのかと思いきや、垣内君は本当に川端康成の本を開き、読み始めた。本気で文学をやりたいと思う高校生がいることにも、川端康成を進んで自ら読む若者がいることにも度肝を抜かれる。

「図書館の神様」瀬尾まいこ著(マガジンハウス)ISBN:4838714467

バレーボール一筋の少女時代を過ごしたスポーツ好きの清(きよ)が、勤務した高校で思いがけず文芸部の顧問となり、たった一人の文学少年の部員、垣内君と、海の見える図書室で一年を過ごす。
軽妙な会話のつながりで、一人の女性の心の成長を描く。近しい人の死や道ならぬ恋は、ひょっとしたらこんな風に、日常に潜んでいるものなのかもしれない。欠点だらけの主人公をはじめ、登場人物がみなとても魅力的。三浦しをんのエッセーを読んだときのように、弟が欲しくなる。(2004/12)

読書日和 : 「図書館の神様」瀬尾まいこ著 読了

川映本音の和: 図書館の神様(瀬尾まいこ)

『図書館の神様』 マガジンハウス

文学って面白い

December 16, 2004

「卒業」

「いい教師だったかどうかは知らないけれど、教師っていう仕事が好きだったんです、親父はずっと」
「……それが、なにか?」
「最後に教えさせてやりたいんです」

「卒業」重松清著(新潮社)ISBN:4104075051

「僕」は自宅で父を看取る。教師の先輩である父の、最後の授業とは。
家族をめぐる中編4作。いつものように、状況は厳しく、やりきれないほど。それでも「父親」を、「親子」を辞めることは出来ない。だから失敗し、迷いながら一歩を踏み出す。苦い涙の一冊。(2004/12)

酒呑みの自己弁護:重松清

December 12, 2004

「野中広務 差別と権力」

利害の異なる集団の境界線上に身を置くという意味では、彼の政治スタンスは、中央政界入りしてからもまったく変わらない。

「野中広務 差別と権力」魚住昭著(講談社)ISBN:4062123444

九〇年代の混乱期、陰の総理と呼ばれた政治家の評伝。
政治とは、異なる立場を駆け引きと貸し借りでまとめていく妥協の芸術。きれい事でなく、時に敵と手を結びながら一歩一歩権力の階段を登っていく半生の物語は、圧倒的な迫力だ。だからこそ、頂点の一歩手前で挫折したようにみえる姿が、戦後日本の闇、矛盾を象徴するようで悲しい。凄まじい取材の執念と、それでもなお暴ききれない心の謎が余韻を遺す。講談社ノンフィクション賞受賞。(2004/11)

とみきち読書日記: 『野中広務 差別と権力』 魚住昭

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