「巨大独占」
表通りに面した電話局の玄関から裏に回ると、あたりは、家と家の軒が触れ合いそうな街並みで、道路も狭く、冬場のせいか埃っぽかったのを覚えている。しかし、地下十数メートルの洞道の中には、地表の喧噪とは裏腹に、薄暗い静寂に満ちた空間が広がっていた。
「巨大独占」町田徹著(新潮社)ISBN:4104698016
民営化や再編、技術革新を経てもなお、NTTグループがもつ「独占」の側面を、米国との接点や歴史を織り交ぜつつ描く。
知られざるエピソードが豊富。登場人物も生き生きして読みやすい。競争とはどうあるべきか。その問いは、道路や郵便というインフラのあり方を巡る論議と重なる。(2004/9)
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