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August 15, 2004

「大コラム テレビ 芸能人編」

えなりかずきの背負う「子役」という言葉の「子」は、通常の年齢によるカテゴライズではなく、役柄を意味する。子役・えなりの生息する場は、「芸能」というよりは「法事」というくくりが正しい。

「大コラム テレビ 芸能人編」ナンシー関著(世界文化社)ISBN:4418045031

主に11年間に刊行された単行本から傑作146編を収録。もちろん消しゴム版画付き。
通読して印象的なのは、版画似顔の秀逸さ。単に似ているというより、「テレビに映る」顔を的確にとらえる。コラムもまた、当人の素顔とか、隠れた逸話とかに頼らず、見えたままを鋭くえぐる。だから、そう見えることを許している、あるいは見えるよう仕向けている、見る側の気分が浮かび上がるのだろう。掲載は時系列ではなく50音順。森繁久彌ら、2回登場する人物の、時間的経過を読む楽しさも。まだまだ読みたかった… (2004/8)

日々カタログ。: 顔グラデーション

August 12, 2004

「空中ブランコ」

「受付から聞いたけど、板東さん、プロ野球選手なんだって? だったらもらってきてくれないかなあ、イチローのサイン」
「はあ?」真一は眉をひそめ、目の前の男をまじまじと見た。首を探すのが困難なほどの二重顎、フケの浮き出たぼさぼさ頭、ドラえもんを思わせる太い指。全体がぬいぐるみのような男だった。
「もらってきてくれたら、注射十本、サービスしちゃうけど」

「空中ブランコ」奥田英朗著(文藝春秋)ISBN:4163228705

傍若無人で明るい精神科医、伊良部を主人公にした5連作。
1作ごとに変わる様々な現代の病を抱えた患者、そして彼らと共に読者も、伊良部の常識はずれの「治療」にあきれつつ、いつの間にかペースに乗せられてしまう。その「乗せられ感覚」が醍醐味。プロ野球選手の苦悩と克服を描いた「ホットコーナー」が秀逸ではないか。直木賞受賞。(2004/8)

ゆずろぐ: 空中ブランコー!!!

August 07, 2004

「ちいさいおうち」

そして、あたりの けしきは、まいにち、すこしずつ かわって いきました。
けれども、ちいさい おうちは、いつも おなじでした。

「ちいさいおうち」ばーじにあ・ばーとん作(岩波書店)ISBN:4001151065

美しい自然に囲まれていた一軒の家。でも徐々に周囲が都会になって…。
「本好きpeople」のTB企画「子供の頃に読んで、いまでも心に残っている本」で思い出した。実家が取り壊しで古本を処分するとき、「赤毛のアン」などと共にもらってきた一冊。筋書きに込められたメッセージは、いまならスローライフ志向と呼べるものなのかもしれない。けれど個人的に、いま読み返してみて最も心を揺さぶられるのは、そうしたテーマよりも、薄い絵本一冊が表現する、なんとも言えない世界の広がりだ。楕円の重なり合う独特の美しい絵で、四季のうつろいも、ビルが立ち並ぶ喧噪の街も、人間何代にもわたる歳月までも描ききっている。石井桃子訳。コルデコット賞受賞。(1968年ごろ)

ちなみに冒険活劇「三銃士」も子供時代の愛読書だった。もちろん児童向けバージョン。長じて文庫で読んで、あの内容にはびっくりしました、、

本好きPeople

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