「臨場」
「調査官ーー検視で犯行の動機や引き金まで知るのは無理です。そのことは調査官が一番よくご存じのはずではないですか」
「わかると言ったらどうする?」
一ノ瀬は目を見開いた。
「臨場」横山秀夫著(光文社)ISBN:4334924298
ニヒルな検視官、倉石を主人公にした警察小説。
使命感や家族愛を描きつつ、謎解きの小技も詰め込まれた贅沢な連作。優秀で、上司に媚びない主人公だけでなく、一作ごとに変わる登場人物それぞれの洞察力が深くて読ませる。文章の無駄のなさもさすが。事件現場の「通行止め」をあしらった装丁が目を引く。(2004/5)