「片想い」
「礼なんかよりも、私に言うことがあるんじゃないんですか。それとも、死ぬまで私をその世界に入れてくださらないのですか」どういう世界だと訊く彼に、彼女は答える。「男の世界とかいうところです」
「片想い」東野圭吾著(文藝春秋)ISBN:4163198806
スポーツライター、哲朗は再会した元アメフト部のマネージャー、美月から殺人の告白を受ける。彼女を逃がすことができるか…。
テーマである性同一性障害については医師が著した「性の署名」(マネー、タッカー著、朝山新一訳、人文書院)が詳しい。所与のものと思われる性別も、実はあやふやなもの。この小説はそれを題材に、人と人がわかりあうことの難しさ、深い孤独を描き出して切ない。
本格推理も活劇もSFもこなす筆者の巧さが光る長編。サービス精神を評価してほとんどの著作を読んでいるけれど、これがベストではないか。(2001/5)
KITORA's Blog: 「パラレルワールド・ラブストーリー」読了
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こんにちは、KITORA です。
TB 有難うございました。
私も今年に入ってから半身浴読書しています。
難点は本がふやけてしまうことですので、
持って入るのは文庫かノベルスがほとんどです。
COCO2 さんの推奨ベストとのことですので、「片思い」
(私的)次期チャレンジリストに入れておきます。(#^.^#)
Posted by: KITORA | April 07, 2004 06:29 PM