「王妃の離婚」
「美しさの他に、男が女になにを愛するというのか。あなたは、そう拙僧に問いました」「……」「お答えします。男が愛してやまないものは、強い女が見せてしまう、どうしようもない弱さなのです」
「王妃の離婚」佐藤賢一著(集英社文庫)ISBN:4087474437
1498年、フランス王ルイ12世の離婚裁判。「醜女」と呼ばれ圧倒的に不利な王妃の弁護に、敏腕フランソワが立ち上がる。権力への反骨、知識人の自負、そして苦い恋の思い出を胸に秘めて…。
ヨーロッパ史のエピソードはもちろん、法廷の内外のサスペンス、なんとも下世話な男女の駆け引きなど、読みどころは盛りだくさん。途中ではその饒舌にちょっと辟易するのだけど、読後感は意外に爽やか。格好悪い現実にもがく登場人物たちがなんとも魅力的だからだろう。1999年直木賞を受けた秀逸エンターテインメント。(2003/11)
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» 「王妃の離婚」佐藤賢一 / 男が愛に気づくとき [辻斬り書評 ]
佐藤 賢一
王妃の離婚
久しぶりに重厚な小説を読んだ気がする。
知覚世界を拡げられるような読書体験は、いつでも刺激的だ。
始めに、この小説の舞台となる15世紀末フランスの状況を簡単に説明しておこう。
ジャンヌ・ダルクの登場を奇貨としてイギリスとの... [Read More]
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