「異端の数ゼロ」
ギリシア人は、ゼロがどんなに便利かを知っていても、ゼロを嫌悪するあまり、数の表記にゼロを用いるのを拒んだ。その理由とは、ゼロは危険だということだった。
「異端の数ゼロ」チャールズ・サイフェ著、林大訳(早川書房)ISBN:415208524X
誤って使えば「チャーチルは人参だ」と証明できてしまう。それが無と無限をはらむゼロの概念の恐ろしさだ。著者はイェール大で数学の修士号をとったサイエンス・ライターで、ピュタゴラスからアインシュタインまで登場人物は科学史のオールスターキャスト。しかし話は科学にとどまらず宗教、哲学など多岐にわたる。ゼロの物語はすなわち、人が宇宙のなりたちをどう理解してきたかという知の遍歴だからだ。
素養が全くないために、正直にいうと後段三分の一ぐらいはよく理解できない。理解できないものを面白がるのは邪道だけれど、一つ一つの例えは印象的だ。黄金比は弦の美しいハーモニーであり、20世紀にオランダの物理学者がみつけた素粒子波はギターの音色になぞらえられる。(2004/3)
異端の数ゼロ 読書夜話blog
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