「越境人たち 六月の祭り」
僕のように日本で生まれ育ったコリアンは体の真ん中にいわば、ミシン目が縦に入った存在なのかもしれない。(略)ちょっとした外力を加えるだけで、たやすくふたつに切り裂かれてしまう。
「越境人たち 六月の祭り」姜誠(カン・ソン)著(集英社)ISBN:4087813037
2002年6月、日韓が共催したサッカーのワールド杯。世界中から大勢訪れるファンを手助けして、この歴史的イベントに貢献したい。在日コリアンでルポタライターの著者は定住外国人たちによるボランティアを立ち上げる。
トラブル続きの道のりは、実はそれほど感動的ではない。登場人物の生き様をえぐるようなエピソードはないし、目の覚める逆転劇もない。だからこそ国境を越えて生きる悩みと希望が、じんと心に残る。開高健ノンフィクション賞優秀賞受賞。(2003/12)
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