「狂食の時代」
あたり一面が死の世界だ。岩や海草のあいだを泳いでいく小魚一匹見あたらない。第一、その海草がない。海底をおおっているのは、海草ではなくて厚く積もった黒い泥だった。
「狂食の時代」ジョン・ハンフリース著、永井喜久子、西尾ゆう子訳(講談社)ISBN:406211156X
BBCラジオでキャスターを務めるベテランのジャーナリストがリポートする食の崩壊。
著者はウエールズに農場を持つ実践派だ。取材では養殖魚の危険を証明しようと、病気発生で使われなくなったゲージ跡の海底に自ら潜ることさえする。その体験が、様々な「沈黙の春」に迫力を与えている。特に抗生物質投与による耐性菌問題の指摘は先駆的。(2002/4)
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