「ホット・ゾーン」
エボラ・スーダン・ウイルスがなぜ消滅したのか、考えられる理由はほかにもある。それはあまりに獰猛すぎたのだ。最初にとりついた宿主を殺すのに急で、ほかの宿主に乗り移る暇がなかったのである。
「ホット・ゾーン」リチャード・プレストン著、高見浩訳(飛鳥新社)ISBN:4870311992 ISBN:487031200X
最悪のウィルス、エボラが89年、ワシントン近郊に突如出現。その制圧作戦を克明に描くノンフィクション。
とにかく怖い。「検疫官」(小林照幸著、角川書店)でも感染現場の描写が衝撃的だったが、熱帯雨林の復讐という言葉が胸に迫る。
だがそれよりも印象的なのは、ウイルスは決して超現実的な「たたり」ではないということだ。アフリカ・キタム洞窟に至る本書の記述をたどれば、「彼ら」もまた、この星の住人なのだと思い知らされる。小学館文庫収録。(1995/6)
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