「トリツカレ男」
両手でもってまんなかをさくと、綿菓子みたいな湯気が上がるの。あの湯気ほどのごちそうはほかにないね、って
「トリツカレ男」いしいしんじ著(ビリケン出版)ISBN:4939029166
ジュゼッペは「トリツカレ男」。楽器でも収集でも、何かを始めるとケタ外れに熱中してしまうことで近所でも有名だ。そのジュゼッペが、恋をした。ひと目で、ものの見事にとりつかれちまったお相手はペチカ。パン屋になるのを夢見る女のこだ。人々に暖かい幸せを与えるパン屋。でも心に様々な悲しみを秘めていて…。
勝手に私が日本のジョン・アーヴィングと呼んでいる著者が恋物語をつむぐ。あまりにも一途で、とても切ない。(2003/7)
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