「号泣する準備はできていた」
私は独身女のように自由で、既婚女のように孤独だ。もう一度、そう考えた。冷蔵庫から水をだして飲み、ガラスのテーブルに足をのせた。
「号泣する準備はできていた」江國香織著(新潮社)ISBN:4103808063
表題作ほか、恋や破局や青春の思い出を綴った12の短編集。
ディンクス、長期海外出張、フランス人との不倫。登場する女性たちの私生活は優雅だ。だから途中までは、彼女たちの悩みや空しさがとても贅沢に思えて少しいらだつ。
だが読み進むうちに、潔さのようなものが心地よくなってくる。何も解決せず、どの物語もポンと投げ出すように終わる。説明なし。「冷静と情熱のあいだ―Rosso」(角川文庫)で、辻仁成と比べ寡黙でストイックに感じたことを思い出す。直木賞受賞。(2004/3)
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