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March 28, 2004

「本格小説」

音楽が鳴り始めたせいか沈黙があった。何だかずいぶんと贅沢な沈黙であった。時代がかった沈黙でもあった。ピアノの音が流れ、白いレースのカーテンを通して天井の高い部屋に夏の光と夏の風が入ってくる。

「本格小説」水村美苗著(新潮社)ISBN:410407702X ISBN:4104077038 

戦後日本の一族の運命と悲恋を描く長編。ある夜、女流小説家は偶然に奇跡の物語と出会う。軽井沢の洋館にはじまり階級と国境を超えて息づく恋の物語。
2002年はなぜか長編をよく読んだ。「海辺のカフカ」(村上春樹著)「晴子情歌」(高村薫著)…。どれもなぜか新潮社。
そして最も物語を楽しんだのはこの一冊だったかもしれない。崩れゆく家と時代の呼応、そして平易な言葉でこの上なく豊かに雰囲気と情念を描く。語り手を替えながら思い出を紡ぐ、そのやや複雑な構成が巧妙に読む人を引き込む。(2002/12)

なまけもの読書録: 辻邦生・水村美苗「手紙、栞を添えて」 ★★★★★

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