「骨董市で家を買う」
古民家といえば、なんたって土間よ。土間といえば古民家よ。だから、土間から板敷きの玄関ホールにあがるようにしたいの
「骨董市で家を買う」服部真澄著(中公文庫)ISBN:4122037697
副題はハットリ邸古民家新築プロジェクト。1961年生まれのミステリー作家が福井の廃屋に惚れ込み、東京下町に移築するまでの奮闘記。
実体験をつづったノンフィクションとあるが、夫の視点から著者の言動を眺める形をとっており、その意味ではフィクションとして楽しめる。達者な筆運びで、工期遅れや予算など具体的かつ切実な悩みを軽妙に語られ、読み進むうちに家について考えさせられる。そうまでして、なぜ土間にこだわるのか? 職人が「この前は大学の資料館かなにかを塗った」と言うほど都会では珍しくなってしまった漆喰壁を選ぶのか?
家造りについては「建てどき」(藤原和博著、情報センター出版局)がヒント満載で読み応えがあるが、ハットリ邸の場合は何だかお呼ばれしたくなる一冊といえそうだ。(2002/8)
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» 骨董市で家を買う―ハットリ邸古民家新築プロジェクト [三太・ケンチク・日記]
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