「プラネタリウムのふたご」
もし、泣いている誰かがきみの前にいたとすれば、ぼくは、そのひとの目からきみを見ている。かすかに光る水滴のなかで、きみがその相手になにかはなしかけるのを、じっと待っている。
「プラネタリウムのふたご」いしいしんじ著(講談社)ISBN:4062118262
もや深く星の見えない村のプラネタリウムで見つかった双子の赤ん坊。彗星にちなんでテンペル、タットルと名付けられた。長じて一人は天才手品師、もう一人は星の神話の語り部になる。この男の子たちの数奇な運命とは。
書店でサイン本をみつけて、大事にしようと買ったのに、やっぱりお風呂に持ち込んでしまいました。ごめんなさい。でもそれくらいに、大人が夢中で読んで、気持ちよく泣いてしまう一冊です。主人公は二人だから、冒険談も二人分。しかも子供だましのファンタジーは一切ありません。「魔女」や「うみがめ」ら、あくが強くてこの上なく優しい登場人物たち、ちょっと猥雑な挿話と悲しい出来事。ますますアービングを思わせるといったら見当違いでしょうか。しかも重要なキーワードは「熊」!(2004/1)
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