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March 28, 2004

「誰か」

わたしたちはみんなそうじゃないか?自分で知っているだけでは足りない。だから、人は一人では生きていけない。どうしようもないほどに、自分以外の誰かが必要なのだ。

「誰か」宮部みゆき著(実業之日本社)ISBN:4334076173 

三郎はある企業グループの社内報編集者。会長の運転手がある日、自転車にはねられ不慮の死を遂げる。「彼の思い出を本にまとめ、事故の真相解明に役立ててほしい」。実力財界人で、舅にもあたる会長に命じられては嫌とはいえない。三郎は初老の運転手の歩んだ道をたどり始めるが…。
「お帰りなさい」といいたい、著者2年ぶりの現代ミステリー。自転車が加害者になる交通事故という素材選びは、いつものようにタイムリーだ。人物それぞれの思いを丁寧に書き込む達者な筆運びもさすが。一方で謎解きの中核で、圧倒的な共感を期待すると肩すかしを食う。それよりも三郎と舅の、ちょっと「大穴」(ディック・フランシス著、ハヤカワ・ミステリ文庫)を思わせる大人の人間関係が味わい深い。現代世話物とでも呼びたいような新しい展開を感じさせる一作。(2003/11)

宮部みゆき―レベル7―

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