「クライマーズ・ハイ」
そして、なにより、佐山の目が悠木を驚かせた。ゾッとするほど暗く、憂いに満ちた瞳だった。
「クライマーズ・ハイ」横山秀夫著(文藝春秋)ISBN:4163220909
1985年8月12日、東京-大阪123便。日航機事故に直面した地方紙社会部デスク、悠木の一週間を描く。凄惨な現場を取材する佐山ら記者たち。報道とは何か、家族とは…。
この歴史に残る大惨事をテーマにした小説は他にも、「沈まぬ太陽」(山崎豊子著、新潮文庫)などもある。あまりにも事実が圧倒的で、容易には消化できないであろうところを、それでも書かずにいられないという気迫がにじむ。そういう思いも含めて、個人的には2003年度ナンバーワン。
この作家は、追いつめられた時、人がぎりぎり譲れない一線とはなにか、どうしても捨てられない大切なものとは何か、ということを考え続けているのではないだろうか。(2003/8)
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クライマーズ・ハイ
横山 秀夫
2004年版このミステリーがすごい!第7位。一気に読んでしまった。やっぱりこの人は長編もすごかった!男同志の確執、友情…... [Read More]
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