フォロー・ミー

2020年9月に舞台「あなたの目」(The Public Eye)を観たのをきっかけに、DVDで鑑賞。「アマデウス」のピーター・シェーファーによる1962年初演の戯曲を、「第三の男」のキャロル・リードが映画化、巨匠の遺作となった。人に生きる喜びを与えるのは人しかいない、というテーマが、温かく胸に染みる秀作。

まずもって、痩せっぽちのミア・ファローのチャーミングさが炸裂。豊かな感性を持つヤンキー妻、ベリンダにぴったりだ。
隙さえあればマカロンをぱくつく探偵クリストフォルーのトポルが、人を食った存在感で際立つ。テルアビブ生まれ、「屋根の上のバイオリン弾き」のテヴィエ役で知られる舞台俳優なんですねえ。気取ったロンドンの上流社会で、ベリンダも探偵もストレンジャーであり、無言のうちに通じ合う感じがよくわかる。妻の不貞を疑いつつその感性を誰より愛す、お固い会計士の夫チャールズはマイケル・ジェイストン。

ナショナルギャラリーとかとかのロンドン名所ロケが楽しく、ジョン・バリー(「真夜中のカーボーイ」など)の哀愁漂う主題歌「フォロー、フォロー」も印象的だ。
2010年の東宝系イベント「午前十時の映画祭 何度見てもすごい50本」で、リクエスト4位。周防正行監督もファンで、代表作「Shall we ダンス?」で引用しているとか。

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