ダンケルク
難解SFのイメージが強いクリストファー・ノーラン監督が、あえてストーリーも説明も排除。言わずとしれた1940年史上最大の撤退戦を、英国側当事者が体感した恐怖、それのみに徹して描く。
とにかくセリフが少ない。なもんで、陸海空3つの視点と1週間・1日・1時間の時間軸が交錯して、正直わかりにくい。でも、無力感だけはヒリヒリ伝わって、見終わったときにはぐったり。録画で。
なんといっても陸=桟橋の二等兵トミー(フィン・ホワイトヘッド)が鮮烈。冒頭から荒廃した街をただ逃げまくるわ、軍用船は次々撃沈するわ。なんという無力感。それでもただ生き残ろうとする、無名で未熟な「その他大勢」のあがきが息苦しい。
海=民間の身で救助に向かう老船長ドーソン(マーク・ライランス、「ブリッジ・オブ・スパイ」のロシアスパイですね)と息子(トム・グリン=カーニー)、それに空=スピットファイアで撤退を援護するパイロット、ファリア(トム・ハーディ)のほうにはヒーロー感があるものの、決してハッピーとはいえない。格好いいのはフランス兵のため、と言って桟橋に居残るボルトン海軍中佐ぐらいかな。堂々ケネス・ブラナーだものね。
33万人の兵士らを、総勢6000人のエキストラと厚紙!の人形で表現したとか。ゲームっぽくない迫力がさもありなん。
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