清州会議

天正10年6月27日(1582年7月16日)に開かれた、織田家の継嗣問題及び領地再分配に関する会議を描く。原作・脚本・監督の三谷幸喜が、大河ドラマ好きをいかんなく発揮。しかも舞台が合戦ではなく会議、というのがいかにもです。もちろんお得意の、時代に取り残される凡人の悲哀となけなしのプライドには感動しちゃう。録画で。

登場人物は三谷ワールドのオールスターキャストで、安定のあて書きだ。なんといっても柴田勝家の役所広司の不器用さが切なく、対する羽柴秀吉・大泉洋の反骨と大局観が痛快。賢人・丹羽長秀(小日向文世)、曲者・池田恒興(佐藤浩市)、凄みある黒田官兵衛(寺島進)の、二転三転する駆け引きはサスペンスたっぷり。
健気な寧(中谷美紀)、友情の人・前田利家(浅野忠信)や使えるヤツ堀秀政(松山ケンイチ)が爽やかで、勝家を振り回しまくるお市(鈴木京香)、変人・織田信包(伊勢谷友介)に貫禄と陰影がある。織田信雄(妻夫木聡)、隠密(なんと天海祐希)、滝川一益(阿南健治)は徹頭徹尾コミカル。そして結局、松姫(剛力彩芽)の不気味さが勝つわけです。

ほかに坂東巳之助、梶原善、近藤芳正、市川しんぺー、迫田孝也らを惜しげもなく投入。ご馳走で、信忠に中村勘九郎、光秀に浅野和之、お約束・更科六兵衛に西田敏行まで…
それにしても、このとき蘭丸の染谷将太が、のちに信長を演じようとは。大河恐るべし。

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ガッチャマン

人気俳優を揃えたアニメの実写版。最近こういう企画が多いのは、往年のアニメファンの子供連れと、若手スターのファンとで、一定の客層が見込めるからなのかな。
確かに主要キャストには色気があるものの、人間関係が妙に子供っぽくてカタルシスに乏しく、残念。
原作は劇画タッチの絵で、今にして思えば差別されるものの苦しみをシリアスに描いていて大人っぽい印象だっただけに、もっと脚本を練ってほしかったなあ。佐藤東弥監督。録画で。

主眼は任務至上主義だった松坂桃李のケンが、仲間愛に目覚めるところなんだろうけど、綾野剛のジョージ、なんとベルクカッツェになっちゃった幼馴染みのナオミ(初音映莉子)との3角関係、そして回りでウロウロしているジュン(剛力彩芽)のジェラシー、というシーンが延々と続いちゃう。地球を救うにしては、どうにも小さい。竜の鈴木亮平は、朴訥単純一本やりだし。
ギャラクターから亡命してくるイリヤの中村獅童が、さすがの怪しさだ。

関係ないけど、映画をきっかけに関係サイトを読んだら、原作ではケンらは弱冠16歳とか18歳。しかもテストパイロットとかスナック経営(!)で自活しているっていう設定だったんだなあ。今さらながら、実は働く若者たちの物語だったとは。大人っぽいはずです。

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L.A.ギャングストーリー

ルーベン・フライシャー監督のアクションを、機内の吹き替えで。ロス市警の特務チームが、政治家や判事を買収して好き放題している大物マフィアと戦う。実話に基づくというからびっくり。1940、50年代のこととはいえ、市警もマフィアになりきって敵の壊滅に邁進する。マフィアが強力過ぎるため、初めから合法的な摘発を放棄してるってわけだけど、法や人権は完全無視。無茶だなあ。
残酷シーンが多くてヘビーだけど、気分は西部劇。意外に痛快です。ミュージックビデオの監督らしく、スローモーションを多用した戦闘シーンはスタイリッシュ。

チームを率いる一徹なジョシュ・ブローリンら、刑事たちのキャラが際立っていて魅力的だ。特にお調子者のライアン・ゴズリングが色っぽい。正義感なんかないみたいだけど、あるとき激しい怒りで立ち上がる。おー、格好いい!
女2人がまた、気が強くて男前なんだなあ。ジョシュの妻のミレイユ・イーノス、ライアンの恋人のエマ・ストーンですね。そしてなんと言っても敵役が豪華配役のショーン・ペンで、ねっちりと怪演。やっぱりアクションは、敵役が個性的じゃなくちゃ。

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