るろうに剣心

和月伸宏のコミック実写化の第一弾。元NHKで「ハゲタカ」の大友啓史が監督。録画で。

これはもう、主演・佐藤健のチャーミングさがすべて! 普段は小柄でへらへらした流浪人・緋村剣心、いったん戦えば幕末に人斬り抜刀斎として恐れられた腕を見せるけど、維新後は「殺さず」の誓いを立てていて、なんだか切なさが漂う。いいな~、ほっとけないな。理解者となる活心流師範代・薫の武井咲も可愛い。

ストーリーは薫や謎めいた女医の恵(蒼井優)を守って、地上げで港を建設し、阿片ビジネスを企む豪商・武田観柳(香川照之)一味と戦うというもの。スピーディーで派手なアクション満載だけど、そのへんはアメコミ風。妖術使い・刃衛(吉川晃司)とか仮面の男・外印(綾野剛)とか、刺客もめちゃ強くて残虐な割に、どこかチープ感が否めない。CG色が強いせいかなあ。
一方で蒼井優の魔性っぷりと、ストレートな乱暴者・青木崇高がいい味。ほかに元新撰組の警察官で江口洋介が、珍しくアクションしてました。

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踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望

テレビドラマから数えて15年に渡る人気シリーズの最終作。製作はいまやフジテレビジョン社長の亀山千広、君塚良一脚本、本広克行監督。織田裕二、深津絵里、ユースケ・サンタマリア、柳葉敏郎。録画で。

まあ、理屈抜きに楽しい娯楽作。シリーズの登場人物がほぼ総出演で、青島とすみれさんの掛け合いとか、室井さんの眉間のシワ、ファンキーなおっちゃんスリーアミーゴスとか、出てくるだけで嬉しい。要素は拳銃殺人、幼児誘拐、警察内部の犯行、隠蔽工作と、どれもありがちだし、国際会議からクリスマスまで絶対詰め込みすぎ。でも、そんなこと気にしません。「カエル急便」「カップ麺」の小ネタでニヤッとさせてくれれば、もう満足です。
署内のざわざわした感じや、和久さんの思い出、おきまりの仲間同士の信頼には、不覚にもほろっとさせられました。あれれ。

室井さんは相変わらずわざとらしいけど、ここまでくると、わざとらしさを楽しんでるとしか思えない。小栗旬、小泉孝太郎がもの静かで意外にいい演技。ゲストに香取慎吾。筧利夫、真矢みきもちらっと登場。小林すすむさんは遺作だったんですねぇ。


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スノーホワイト

グリム童話「白雪姫」をベースにしたCG満載の娯楽ファンタジー。ルパート・サンダース監督。録画で。

スノーホワイト(クリステン・スチュワート)は、美と邪悪な魔力を維持しようとする継母ラヴェンナ(シャーリーズ・セロンが存在感たっぷり)に命を狙われる。いったんは毒りんごに倒れるが、漁師エリック(クリス・ヘムズワース)のキスで蘇生…というあたりまでは、大筋童話通り。
でも序盤で漁師が王女を守るかどうか、逡巡するあたりが、ちょっと大人っぽいかな。

終盤が勇ましくて、スノーホワイト自ら鎧をまとって立ち上がり、小人(ドワーフ)らと協力して継母を討伐、君臨しちゃう。ここへ至る道程と合わせて、RPGっぽい印象が強くて、ちょっと辟易。
森の守護神の大鹿とか、雪山とかカラスの大群とか、ファンタジーらしい道具だても揃っている。とはいえやっぱり、見ごたえがあるのはラスボスの女王が、みるみる老けたり若返ったりするCGでしょう。

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図書館戦争 革命のつばさ

有川浩「図書館戦争シリーズ」の劇場公開アニメ。「図書館革命」のエピソードが中心になっているそうです。浜名孝行監督。録画で。

良書を守る「図書隊」に入った笠原郁の成長を描く。「作家狩」の標的となった当麻蔵人を警護する。なかなかのスペクタクルですね。

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先祖になる

頑固なじいさんを撮ったら日本一、「蟻の兵隊」の池谷薫監督。震災から2年、陸前高田市に住む77歳の佐藤直志さんを追ったドキュメンタリーを観た。表参道のミニシアターで。
波乱と慟哭に満ちた「蟻の兵隊」に比べると、今作はとても淡々としている。朝起きて、食事をし、コメやソバを作り、山に木を切りに行く1年半。BGMは一切なく、大津波の恐怖を言い立てることもない。
佐藤さんは頑固者だ。働き盛りの長男を失い、妻と嫁が離れていっても、仮設住宅への入居を拒否して、ひとり掘っ立て小屋に住み続ける。周囲は瓦礫だらけ、映画後半では哀しい更地が広がっている土地に、自ら切り出した木材を使って自宅を再建するのだと言い張って。
頑固だけど、キャラは静かだ。しんしんと冷えこむ夜、底なしの寂しさ、不安に向き合いながらも、キレたり喚いたりしない。訛りをまじえた美しい日本語でしみじみと語る。お茶目なユーモアも披露する。だからこそ決してへこたれない、強い気持ちが染みる。
復興に向かう土地の祭りと、朝日がすがすがしい。ベルリン国際映画祭エキュメニカル賞特別表彰。

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フライト

ロバート・ゼメキス監督、ジョン・ゲイティンズ脚本。デンゼル・ワシントン主演。試写で。

制御不能に陥ったローカル便ジェットを、奇跡的に不時着させたウィトカー機長。確かに腕はいいが、実は普段から素行には問題があった。ヒーローと持ち上げられた後に、疑惑が浮上する。

とにかく導入部分の事故シーンがとんでもなく怖い。「フォレストガンプ」の監督とあって、安っぽいCGを感じさせない大迫力で、手に汗握る。
そして事故の後は一転して、むしろ淡々とした人間劇が展開し、深みがある。事故の真相を巡って、からみあう航空会社や組合の思惑、家族の情愛。登場人物誰もが、単純な悪人でも善人でもない。知的イメージをかなぐり捨てた名優デンゼルはじめ、弁護士役のドン・チードル、チャーリー・アンダーソンらの演技に説得力があって、お説教臭くない。特にウィトカーの悪友ジョン・グッドマンの、あっけらかんとした怪しさが、テーマの深刻さと絶妙のバランスを醸し出す。

結局、自分の主人は世間でも義理がある仕事仲間でも家族でさえもない。自分なのだ。遠くの空から聞こえてくる、航空機の飛行音が胸にしみるなあ。

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レ・ミゼラブル

トム・フーバー監督。キャメロン・マッキントッシュによる1985年初演の大河ミュージカルを映画化。
豪華キャストはヒュー・ジャックマン(ジャン・バルジャン)、ラッセル・クロウ(ジャベール)、コルム・ウィルキンソン(司祭)、アン・ハサウェイ(ファンティーヌ)、アマンダ・サイフリッド(コゼット)、エディ・レッドメイン(マリウス)、サマンサ・バークス(エボニーヌ)。158分の長尺だけど、新宿ピカデリーのプラチナシート、シャンパン付きを奮発したので長さを感じなかった。

意外にも全編ほぼセリフ無し。フルオーケストラで俳優陣が歌いまくる。さすがの名曲ぞろいで、司祭がバルジャンに燭台を差し出すあたりで、もうウルウルだ。
本当に悲惨なファンティーヌの独唱が染みたし、コゼットの少女時代イザベル・アレンが可愛い。テナルディエ夫婦のワルぶりが気持ちよく弾け、報われない雨中のエボニーヌが切ない。そして1848年「6月蜂起」の高揚と若者たちの挫折、シャベールの人間的な苦悩とテンポ良く進み、バルジャンの旅立ちでまた涙…

前評判通り、俳優陣がしっかり歌っているし、衣装やセットなどCG臭くない丁寧な造り込み、縦の移動を多用したカメラワークのスペクタクルも見応えがある。「民衆の歌」を口ずさみながら劇場を後にしました。

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あなたへ

降旗康男監督、高倉健、田中裕子。試写で。

刑務所の指導技官・倉島は、亡き妻が遺した絵手紙を読み、希望通り故郷の海で散骨すべく、富山から長崎・平戸へと1200キロを旅する。
しみじみとしたロードムービーで、ひと言でいうと大人の映画。健さん主演、しかも夫婦愛がテーマと聞くと、どうしても往年の「幸福の黄色いハンカチ」を連想しちゃうけど、泣ける映画を期待すると裏切られます。よく考えたら、あれからもう35年ですよ。健さんも年とったなあ、夫婦ものはちょっときついなあ、って印象は否めません。

そのかわりに、旅の途中での出会いのほろ苦さが、地味ながら胸に染みる。シンプルな愛の賛歌ではないけれど、一人ひとりがしっかりと生きていく。日本各地の何気ない映像も美しい。

配役は佐藤浩市、草彅剛、ビートたけしと贅沢で、頑固もの大滝秀治がさすがの存在感。なにしろ原田美枝子も浅野忠信もチョイ役だもんなあ。

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アベンジャーズ

ジョス・ウィードン監督。ロバート・ダウニーJr.、クリス・エヴァンス、ブルース・バナー。機内で。 マーベルコミックのヒーローがオールスターキャストで登場するお祭り映画。飛翔感たっぷりのアクションが満載で、文句なく楽しい。 それだけじゃなく、ヒーローのくせに妙に屈折してたり、身勝手だったり、仲間割れもしちゃって、ひねりが巧い。そんなにキャラクターに詳しい訳じゃないけど、クスリとさせるシーンもあるし、特にラストがお洒落だ。センスあるなあ。

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テルマエ・ロマエ

竹内英樹監督、脚本はドラマ「ジョーカー」の武藤将吾。阿部寛ら出演は濃い顔の人々。ヤマザキマリの人気漫画を実写化。機内で。 まあ、古代ローマと現代日本の、何故かお風呂同士を行き来する、という発想は面白いのかな。ヒットはめでたいことです。

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