ミッション:8ミニッツ

デヴィット・ボウイの息子・ダンカン・ジョーンズ監督のハリウッド進出作。ジェイク・ジレンホール、ミシェル・モナハン。録画で。

アフガン駐留中のスティーブンス大尉は気がつくと、シカゴ郊外を走る電車に乗っていた。何故か顔も名前もまるで他人。そして繰り返される悲劇直前の8分間。これは訓練なのか、それとも何かの陰謀なのか。やがて驚きの新技術と、スティーブンスに課せられた指命が明らかになる。

テロ犯を追うサスペンス、親子の情愛、生死が交錯するパラレルワールドと、要素がてんこ盛りだ。SFだから理屈が通ってるんだか何だか、正直よくわかんないです。でも派手なCGといったSF臭さは抑えめで、展開も速くてなかなかいい。

8分という短い時間でも、人はけっこう、いろんなことができる。スーパーマンみたいに世界を救ったり、運命の恋に落ちたり。毎日同じことの繰り返しにしかみえない、平凡で退屈な通勤電車の光景がとても愛おしく見えてきます。

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「GANTZ」「GANTZ PERFECT ANSWER」

奥浩哉の漫画を佐藤信介監督で実写化。前・後編を録画で。
原作は指令を受けて敵を倒しに行く「必殺仕事人のSF版」とのことだけど、んー、グロシーン満載だし、敵のあまりの強さに絶望感があって、テレビで放送して大丈夫だったのかってくらいです。

だらだら過ごしていた主人公が抱く奇妙な万能感とか、無意味な復讐の連鎖とか、テーマっぽいものは見え隠れする。だけど全体の因果関係を理解するのは、けっこう難しい。特にちょっと理屈っぽくなった後編。
戦闘シーンのスケールとスピード感、音遣いは凄い。SFなのに刀で斬り合うところも格好良くて、邦画の伝統と誇りを感じます。

主演の二宮和也、松山ケンイチのコンビは、ちょっと無駄なくらい演技派。漫画好きの同級生、吉高由里子のダサイ感じがとても可愛く、チームの事情通で残酷な高校生の本郷奏多、地下鉄で大暴れする敵役の黒服星人・綾野剛、見た目まるっきりアニメの夏菜らに存在感がありました~

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キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー

ジョー・ジョンストン監督、クリス・エヴァンス。録画で。
マーベルスタジオのアメコミワールド全開。昨年観た「アベンジャーズ」の一人、清廉だけど融通のきかないキャプテン・アメリカの誕生談だ。
2次大戦中、スティーブは虚弱な外見に隠れた、強靱な正義感と勇気をアースキン博士(スタンリー・トゥッチ)に見込まれて、スーパーソルジャーに変身。戦地に乗り込み、あらくれ兵を率いて大活躍する。
アクションはCGバリバリですっかり漫画。人間が一瞬で消滅するようなハイテク兵器が登場するのに、肝心かなめの対決シーンでは素朴なストリートファイトになっちゃうところがご愛敬だ。一方で会話が洒落ていて楽しめる。アースキン博士とのシュナップスを巡るエピソードとか、キャプテンの親友バッキー(セバスチャン・スタン)がさらりと「キャプテンじゃなく、もやし野郎についていくんだ」と語るところとか。
ラスト近く、互いに淡い恋心を抱くペギー(ヘイリー・アトウェル)とのやりとりには、不覚にも泣けました。上司のトミー・リー・ジョーンズは、今や宇宙人にしか見えないけどね。はは。
科学者スターク(アイアンマンの父)や特殊機関長官ニック、超人血清、コズミックキューブなどなど、マーベルワールドにつながる鍵が散りばめられているところも巧い。関連作品を次々に観て、ニンマリしちゃう仕掛けだね。

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三銃士/王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船

「バイオハザード」「デス・レース」のポール・W・S・アンダーソン監督、ローガン・ラーマン、オーランド・ブルーム。録画で。
デュマ原作の設定をところどころ借用しつつ、独自にストーリーを構築したファンタジーアクション。飛行船2隻がぶつかる空中戦とか、ド派手な活劇やカラッとした脳天気さもさることながら、ベルばら顔負けの豪華な宮殿、庭園のシーンが美しくてなかなか楽しい。

子供のころ児童書版「三銃士」の大ファンで、長じてから原作の翻訳を読んでびっくりした覚えがある。なにしろ友情と冒険の英雄譚というより、シニカルな人間ドラマなんだもの。この映画でも、暑苦しい田舎者のダルタニアン、暗くて人間不信のアトス、子供っぽいルイ13世なんかには、原作の雰囲気がある。悪女ミレディ、自信過剰のバッキンガムもいい敵役ぶり。ほかにもポルトスは粗暴だし、アラミスはなんか偽善的なんだよね~

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あしたのジョー

曽利文彦監督、篠崎絵里子脚本。山下智久、香里奈、香川照之。録画で。

70年代のあまりに著名な漫画を実写化。伊勢谷友介の凝りまくりぶり、香川照之が役を楽しんでいる感じが悪くない。それに比べると、ジョーの切なさは今ひとつかな。何でこれほど伝説の漫画になっているんだっけ…

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忌野清志郎ナニワ・サリバン・ショー

鈴木剛監督。FMの番組がきっかけで、2001年、04年、06年に大阪城ホールで開いたスペシャルライブの映画化。劇場で。

もう一度あのショーを開こう、という設定で、ライブ映像を参加アーティスト出演のアホっぽいショートストーリーとDJでつないで再構成している。この「つなぎ」部分が徹底して格好つけてなくて、脱力しちゃう。まあ、ライブ映像をもっとたっぷり観たい、と思うけれど、いろんなアーティストが楽しそうにアホを演じる雰囲気とか、通天閣などベタな大阪の風景がいい雰囲気でもある。

ライブ部分も含めて、登場アーティストは豪華だ。布袋寅泰、山崎まさよし、斉藤和義、Chara、中村獅童、矢野顕子、トータス松本、木村充揮、宮藤官九郎、松たか子、清水ミチコ、間寛平…そしてチャボ。
お茶目な「後ろの奴等のために」、山崎まさよしアレンジのアコースティックな「トランジスタ・ラジオ」、キレキレ獅童の「キモちE」、トータス松本のソウルフルな「すべてはALLRIGHT」、矢野顕子さんとの名曲「ひとつだけ」、そしてもちろん「スローバラード」、寛平さん登場で最高潮に盛り上がる「雨あがりの夜空に」。ラストのチャボとの「夜の散歩をしないかね」には泣けました。チャボのコメントにもしみじみ。やっぱり清志郎は偉大だなあ。

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ミッション・インポッシブル ゴースト・プロトコル

監督ブラッド・バード、製作トム・クルーズ、JJ・エイブラムス、ブライアン・バーク。当然主演はスター、トム・クルーズ。試写で。

お馴染みのテーマ曲にのって、大作スパイアクション・シリーズ第4作。チーム・イーサン・ハントが孤立無援の状況で、核兵器テロをもくろむトンデモ教授に挑む、というのがストーリーだけど、さあ、何も考えずに無理を承知の超絶アクションを楽しもう!
舞台はなにやらバブリーにモスクワ、ドバイ、ムンバイと展開。ド派手なクレムリン大爆発のあと、圧巻はドバイ、世界一の超高層ビル「ブルジュ・ハリファ」です。地上800メートルの空中シーンは、やっぱり手に汗握っちゃう。頼りにならない秘密兵器の「ゲッコー・グローブ」が面白い。

イーサン・ハントのトムは、アップになるとさすがに年とったなあ、と思うけど、キレは健在。スパイ物らしい駆け引きはあまりなくて、むしろお父さん的キャラになったハントが、速成チームをまとめていくというシンプルなお話。わかりやすくていいなあ。ラストもほのぼのだし。
チームはエキゾティックな美人ポーラ・ハットン、コミカルな技術スタッフ・サイモン・ペッグに、ちょっと切なくて雰囲気があるジェレミー・レナー。冷戦チックな悪役はスウェーデン出身のミカエル・ニクヴィスト、ロシア捜査官はウラジミール・マシコフ、コミカルなインド人富豪はアニル・カプールと国際的です。

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アンノウン

ジャウム・コレット=セラ監督。ディディエ・ヴァン・コーヴラール原作。リーアム・ニーソン、ジャニュアリー・ジョーンズ、ダイアン・クルーガー。機内で。

いや~、緊迫感ある秀作サスペンスでした。ニーソン演じる植物学者のハリス博士は学会に出席するため、妻とベルリンにやってくる。ひとり交通事故に巻き込まれて病院で目覚めた時には、自分の存在というものがかき消されていた。旅先でアイデンティテイーを失う底なしの不安、迫りくる陰謀。さあ、どうするニーソン。

寒々とした冬のベルリンの雰囲気がいい。全編グレーですね。博士に手を貸すボスニア移民の女性タクシー運転手(ダイアン・クルーガー)、東ドイツ秘密警察という過去を持つ男(ブルーノ・ガンツ)ら、人物の背景が複雑。驚きの謎解き、カーチェイスのスピード感も楽しめる。

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ステキな金縛り

三谷幸喜監督・脚本。深津絵里、西田敏行。劇場で。

50歳到達を機に、精力的に舞台やドラマをこなしている三谷さんの新作映画を観た。ドジな女性弁護士が、殺人事件の被告が主張する「事件のあった夜、ずっと金縛りにあっていた」というアリバイを立証すべく、なんと金縛りにあわせた落ち武者の幽霊を証人として引っ張り出す、という法廷コメディです。

奇想天外な設定の面白さは文句なし。落ち武者の姿が見える人と見えない人がいて、その意味は、という理屈づけがなかなか泣かせる。人生はたいてい思い通りにならない。でも、自分を信じていくしかない。ん~、正調・三谷節。
法廷での無罪立証と、落ち武者の名誉回復の理屈がからんでくると、勝手に期待しちゃったんで、そのあたりは肩すかしだったかな。2時間半近くの長丁場、もう一工夫ストーリーを作り込んでほしかった、というのは贅沢かしらん。

三谷作品ならではの豪華キャストは、存分に楽しめます。なんといっても主演の深津絵里の、40近いとは思えない天性のキュートさ、はつらつとしたリズム感が魅力的。落ち武者の西田敏行(安定感)、カタブツ検事の中井貴一(犬と競演)、つまみ食いばっかりしているボス弁の阿部寛(タップダンスを披露)が、いずれもおかしみと切なさを漂わせて秀逸。揃いも揃ってセンスがいいですねえ。
ほかにも浅野忠信、竹内結子、ちょい役で佐藤浩市から唐沢寿明、エンドロールの大泉洋まで! もちろん常連組も総出演。市村正親だけはあまりにドタバタで、どうもよく意図がわからなかったけど(しかも夫婦で出ていた)。はは。

往年の名画へのオマージュとか、仕掛けも満載です。録画でもう一度観たら、いろいろ小ネタが見つかりそう。余談ですが、公開にあわせた三谷さんの恒例・露出祭は、PRとはいえ献身的過ぎて、ちょっと痛々しい気がしちゃいました… 年内にあと舞台が1本。来年はどうか、ゆっくりしてくださいね。

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探偵はBARにいる

橋本一監督、古沢良太・須藤泰司脚本という東映・相棒チームで、東直己のススキノ探偵シリーズを映画化。劇場で。

舞台は猥雑な歓楽街、ススキノ。北海道といえばこの人、大好きな大泉洋が探偵の「俺」役で堂々の主演です。無茶で切ない感じがいいなあ! しかも飄々とした相棒・高田役は松田龍平ですよ。特に何をするでもないのに、出てくるだけでスクリーンに色気が漂います。ストーリーとしてはね、まあ、小雪が美味しいところをもっていくわけですけれども。

探偵行きつけのバー、ケラーオオハタにかかってきた1本の電話。謎の女・コンドウキョウコの依頼を受けたことで、探偵はとんでもない事件に巻き込まれていく。けっこうバイオレンスな展開なんですけど、悪役・高嶋政伸が怪演でみせます。もっとスリムだったら、クリストファー・ウォーケンっぽい雰囲気かも。この役者さんは最近、貴重な存在になりつつある気がします。
えぐい残酷シーンと、気の抜けたコメディ部分のバランスがいい。雰囲気は往年のドラマ「傷だらけの天使」っぽいか。探偵が遅い朝食をとりに行く「喫茶モンテ」の色っぽい看板娘は、なんとポツドールの安藤玉恵です。やってくれるなあ。

細部も作り込んでます。高田の愛車は一生懸命おだてないとちゃんと走らないんだけど、これは初代光岡・ビュート。冒頭のパーティーシーンでは、カルメン・マキが登場して主題歌「時計をとめて」を存在感たっぷりに歌う。その後、オメガの時計がお話のカギになっていくあたりが洒落てる。それほどヒネったストーリーではないけど、面白かった! 第2作も予定されてるようで、楽しみ~

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