グッバイ、レーニン

ヴォルフガング・ベッカー監督の、軽快で淡々としていて、同時に味わい深いコメディだ。ダニエル・ブリュール、カトリーン・ザース。ベルリン旅行の思い出に、録画で視聴。

旧東ベルリンに住んでいた若者アレックス(ブリュール)は、熱烈に社会主義を支持し、病に倒れて壁崩壊を知らなかった母クリスティアーナ(ザース)に命にかかわるショックを与えまいと、東ドイツ体制が継続しているかのように偽装する。
急速に西側文化にさらされ、生活が揺らぐベルリン住民の戸惑いが滑稽、かつシリアスだ。どんどん失われていく東側の文化を再現しようとする、l虚しい努力。なんとテレビニュースも作っちゃったりして、ありえへん。可笑しいんだけど、胸に響く。不便でもダサくても、それが文化だったのだ。

やがて実は家族はかつて、西側に亡命しようとしていたことが判明。政治に翻弄されたそれぞれの人生に、どんな葛藤があったのか…。嘘を突き通そうとするアレックスと、騙されとおそうとする母との、なんとも複雑な表情が、繊細で素晴らしい。国家の統合と、家族の思いが重なっていく佳作。
ちなみに宇宙飛行士役は本物らしい。

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OUT

平山秀幸監督、鄭義信(チョン・ウィシン)脚本。原田美枝子、倍賞美津子。

桐野夏生のヒット作の映画化。弁当工場のパート主婦4人が、ふとしたことからバラバラ殺人にかかわり、平凡な日常を踏み外していく。

ものすごくネタばれですが、原作小説は衝撃的で、なんというか情念がほとばしるような内容。これを果たして映像にできるのかと、かなり疑問に思っていました。
しかし! 焦点の風呂場シーンで、見事にスイッチが切り替わりました。あえて真実味は追わない。そこから、この映画の面白さが始まるのではないでしょうか。閉塞の日常から外へ、OUTへ。映画版ならではのラストもカタルシスをもたらす。あるようでなかった、「女優映画」の佳作だと思います。
それにしても、大森南朋が出てたんだなあ。

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マイノリティ・リポート

スティーブン・スピルバーグ監督、トム・クルーズ、コリン・ファレル、サマンサ・モートン。劇場で。

P・K・ディック原作のSF。犯罪予知システムによって刑事ジョンは追われるはめになり…。

街を歩いていると、個人の嗜好に合った広告が次々表示されるといった、「今そこにある未来」のアイデアが満載。公開当時、生体認証とか個人情報管理といったテーマを論じるとき、頻繁に引用される重要な映画となる気がした。
エンタテインメントとしては、ちょっとイメージを詰め込みすぎで、消化不良かも…。トム・クルーズの張り切りぶりと、コリン・ファレルの若々しさが印象的。

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シカゴ

ロブ・マーシャル監督。レニー・ゼルウィガー、キャサリン・ゼタ=ジョーンズ、リチャード・ギア。劇場で。

ボブ・フォッシーの傑作ミュージカルの映画化。冒頭の「オール・ザット・ジャズ」で、もうノックダウンです。格好いい! 網タイツ万歳。
70年代に、ここまで楽しく、ここまで冷徹にスキャンダリズムを皮肉った舞台を作ったフォッシーに、まず乾杯。そしてフォッシーと、エンタテインメントをこよなく愛することを隠さない、この映画のスタッフに拍手。

ミュージカル映画が好きで、観ると必ず感じるんだけど、ハリウッドスターの芸人魂は見上げたもんだよね。「ムーラン・ルージュ」とか「ヘア・スプレー」とか、最近だと「マンマ・ミーア!」とか。
本作では、リチャード・ギアが下着姿で踊りだしたときには、さすがにちょっとのけぞったけど、それも含めて、「やる時はやる」姿がさすが。特に
レニー・ゼルウィガー。

シカゴ(映画) なんでも屋のアホ日誌

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「HERO(英雄)」

チャン・イーモウ監督。ジェット・リー、トニー・レオン、マギー・チャン、チャン・ツィイー。録画で鑑賞。

秦王(のちの始皇帝)暗殺をテーマにした、「羅生門」的な武侠映画。

とにかく映像が圧巻です。評判通り、場面ごとの色使いが鮮烈。美しい画面のなかを、豪華キャストがワイヤーを使って華麗に踊りまくる。そう、この動きはアクションではなく、舞踏でしょ。口をあんぐりして観てしまう。

雄大な砂丘や静謐な湖という舞台装置、そして砂や落ち葉や水の動き。碁とか書とかの文化的な深み。繰り返し出てくる、膨大な兵士と矢だけでも、のけぞってしまう。この想像の世界のような美意識を、現実の映像として撮ってしまう執念が、すごい。恐るべし中国。

音楽も渋いな。「十歩」という 数へのこだわりとか、旗の色の小道具とかが、ファンタジー性を添えてます。衣装はワダ・エミ。

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「スパイダーマン」

サム・ライミ監督。トビー・マグワイヤ。DVDで。

アメコミ映画化の人気シリーズ第一弾。

トビー・マグワイヤのキャスティングが絶妙。格好いいんだか悪いんだか、よくわからないところがいい。苦悩するヒーロー像というか。
ビル壁をはい回り、摩天楼を飛び回る映像が圧巻。それから、最初のコスチュームが手作り、というエピソードに共感したな。

「グリーン・ゴブリン」のウィレム・デフォーが、さすがの存在感でした。

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「コンフェッション」

ジョージ・クルーニー監督デビュー作。サム・ロックウエル。録画で鑑賞。

70年代テレビ界の敏腕プロデューサーが、実はCIA工作員だったと告白(コンフェッション)した伝記の映画化。

クルーニーへのご祝儀ということか、「オーシャンズ」の面々が応援で登場し、すごい豪華キャストだ。凝った映像も印象的です。冷蔵庫の陰影とか。

それなのに、とても地味に仕上がっているのが貴重な感じ。もとになった伝記の内容については、疑問符がついているらしい。映画はその真偽よりも、今日に至るテレビのバラエティー番組の原型を作った「ゴングショー」のホストの小心さ、下世話さや、子供の頃から傷を抱えていたということ。そして成功すればするほど、虚飾とストレスに追いつめられていく心理が、うまく描かれていたと思う。

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少林サッカー

チャウ・シンチー監督・脚本・主演の香港映画。録画で。

特撮・CGを駆使し、燃えるボールなど劇画的シーンが連続の、はちゃめちゃサッカー映画。個人的には少し暴力的過ぎ。でも、ダンスシーンはよかったな。

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「サイン」

シックス・センスのナイト・シャマラン監督。メル・ギブソン。録画で鑑賞。

「宇宙戦争」陰鬱版。ミステリーサークルなど、元牧師一家の周囲にあらわれる様々なサインは、果たして何を意味するのか。

ストーリーは単純だと思うのだけど、何故か引き込まれる。音楽が少ないこと、目を離しがたいカメラ目線、それから、ところどころの ユーモアのおかげか。

信仰とはまた別の意味で、「世界のすべては、何かの伏線である」。このテーマは、思えば様々な作劇の基礎かもしれない。片田舎に息づく人生もまた、十分にドラマを含んでい るという感触が、妙に観る者の胸に届く。

賢い兄と勘の鋭い妹、特に「水が汚染されている」という妹の台詞の繰り返しが効果的だ。絶望に向かい合うということが、意外に真摯に描かれていると思った。

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