シービスケット

ゲイリー・ロス脚本・監督。大恐慌時代に人気を博した競走馬をめぐる感動のドラマだ。録画で。

けんかっ早い元ボクサーで体が大き過ぎ、おまけに右目が見えない騎手と、富豪だけど息子を亡くして心に傷を負う馬主、そして偏屈な調教師。3人は馬格で劣るも不屈の闘争心を持つ一頭の馬に、勇気づけられていく。「スパイダーマン」のトビー・マグワイア、「トゥルー・グリット」のゲイリー・バーバーとクリス・クーパーという、男優たちの演技合戦が渋い。

セリフが控えめで余白が多く、しかしテンポの良い脚本が秀逸。全編を覆う30年代の雰囲気も洒落ている。緑の芝を駆け抜ける馬たちのスローモーションがスカッとするのはもちろんだが、クライマックスのレースシーンでなぜか、馬主の妻が駐車場の車のボンネットに駆け上がって観戦する、その濃紺の帽子をかぶった姿とか、何気ないシーンがとても美しい。
ピアノとかを効果的に使ったランディ・ニューマンの古風な音楽も好み。正直、びっくりする展開はないんだけれど、気持ちの良い映画です。

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キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン

スティーブン・スピルバーグ監督。レオナルド・ディカプリオ、トム・ハンクス。録画で。

60年代の実話をもとにした、天才詐欺師フランクと彼を追うFBI捜査官カールの不思議な交流。

おしゃれな追跡劇で、レオ様の華麗な詐欺師ぶりが楽しめます。よくできた筋立ての破綻のなさが、なぜか懐かしい感触。フランクの父、クリストファー・ウォーケンが相変わらずの存在感だなあ。

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ペイ・チェック 消された記憶

ジョン・ウー監督。ベン・アフレック、アーロン・エーカット、ユマ・サーマン。試写で。

機密保持のため記憶を消されたフリー・エンジニアのマイケルが、FBIや謎のエージェントに追われ始める。

P・K・ディック原作とはいえ、SFとしての驚きは、いまや乏しいでしょう。それよりも好漢ベン・アフレックの、古風とさえ言える陰謀への巻き込まれぶりが楽しい。そして何と言っても、サービス精神たっぷりのジョン・ウー節。やっぱり敵は、スローモーションで近づいてきます。

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キル・ビル

クエンティン・タランティーノ監督・脚本。ユマ・サーマン。劇場で。

女殺し屋ザ・ブライドの壮絶、はちゃめちゃな復讐アクション。タランティーノ節全開です。

シネコンのレイトショーでポップコーン食べながら、というシチュエーションがぴったりでした。玄関ベ ルを押す指の意表をつくアップとか、布袋寅泰などの選曲とか、ツボをはずさない感じがさすが。まあ、確かに88人斬りシーンは長すぎると思うけど。

深作欣二へのオマージュが散りばめられ、プロダクションIG制作のアニメを挟んだり、日本を舞台としてアクの強い日本人俳優を多数登場させたり。キーハンターの千葉真一、子供心に好きだったのを思い出しちゃいました。 相変わらず演技はいまいちで、うれしかったです。

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「マトリックスリローデッド」

監督ウォシャウスキー兄弟。キアヌ・リーズス、ローレンス・フィッシュバーン、キャリー・アン=モス。DVDで。

マトリックス3部作の2作目。

前作に比べ、映像の豪華さがアップ。「100人スミス」やカーチェイスのイメージの膨らみはさすがです。素手で車の屋根をベリッとはがすところは、笑いました。

ストーリーは、実はよくわかりませんでしたが。なんだか哲学的なんだもん。

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「マトリックス・レボリューションズ」

監督ウォシャウスキー兄弟。キアヌ・リーズス、ローレンス・フィッシュバーン、キャリー・アン=モス。劇場で。

いわずとしれたマトリックス3部作の完結編。小さい部屋であまりにスクリーンに近かったので、最初なんだか不安でしたが、始まったら夢中。いやー、迫力です。

途中、ガンダムかっ(ふるっ)と突っ込みながらも、映像としてはもう満腹。ミフネとナイオビのシーンには思い切り力が入った。そして何と言っても、「飛ぶスミス」。期待通り笑っちゃった。いいぞ、ヒューゴ・ウィーヴィング!

問題は、で、お話はどう なったの?ってところでしょうか…

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「ラストサムライ」

「マーシャル・ロー」のエドワード・ズウィック監督。トム・クルーズ、渡辺謙。先行ロードショーで。

明治政府の軍事顧問として来日したアメリカ人が、不平士族の武士道に触れ、共感していく。

なかなか良かったです。ハリウッドで300億円かければ、こんな品の良いチャンバラができるって思っちゃった。
前評判通り、トム・クルー ズより格好いい渡辺謙。りりしい小山田真。映像や音楽も美しく、黒澤の影響なのかな。

名誉の死とか滅びの美とかというテーマは、正直言って苦手。その点、古い日本を美化しすぎで、こぞばゆい感じもなくはない。でも、軍事産業が太るだけの戦いとか、他国の文化をないがしろにする姿勢への静かな反発は共感できると感じましたね。

個人的な不満ポイントは、真田広之さんの見せ場がもっとほしかったのと、最後に福本清三さんの役名を呼んでほしかったこと。

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「花咲ける騎士道(ファンファン・ラ・チューリップ)」

ベッソン製作のフランス映画。ジェラール・クラヴジック監督。ペネロペ・クルス、ヴァンサン・クレーズ。試写で。

美形のプレーボーイ(!)、ファンファンをジェラール・フィリップが演じたことで有名な明るい西洋活劇を、50年ぶりリメイク。

ペレーズがペネロペを洗濯物越しに口説くシーンの光、風の動きが爽やかだ。女優としてはエレーヌ・ド・フジュロルの方が好きだけれど。登場するブローチはショパール製とか。

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「フォッグ・オブ・ウォー」

エロール・モリス監督。試写で。

マクナマラ元国防長官のインタビュードキュメント。類い希な米国の知性が、なぜ戦争を防げな かったのか。答えは霧の中だ。ただ言えることは、戦争は何も解決せず、戦争を招くだけ、ということだろうか。

淡々としたフィリップ・グラスの音楽が秀逸。 アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞受賞。

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「壬生義士伝」

滝田洋二郎監督。中井貴一、佐藤浩市、夏川結衣。録画で。

浅田次郎原作の新撰組隊士の生涯。

とにかく中井貴一。情けないようでいて、実はタフな半笑いが名演。簡単にいい悪いで片づかない人物像を、こんな風に表現できるって、うまいよなあ。鳥羽伏見の噴煙も非常に劇的だ。

それだけに、後の30分をちょっと長く感じちゃった。幕末から満州へ、親子2代で、なんだかいいことのなさそうな人生がもの悲しい。時代劇特有なのかもしれないけれど、照明を抑えた暗めの画面に、「生きる紐帯」を象徴するかのような白い握り飯が鮮やかで印象に残った。

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