LOGAN/ローガン

ミュータントの闘いを描くマーベルコミック「X-メン」のキャラクター、ウルヴァリン(ローガン)を主人公にしたスピンオフ3作目。タイトロールのヒュー・ジャックマンと、プロフェッサーXのパトリック・スチュワートが役からの引退を宣言していて、マニア注目の作品らしい。ジェームズ・マンゴールド監督。機内で。

2029年、隠遁生活だったローガンとプロフェッサーは、謎の少女ローラ(ダフネ・キーン)を預けられ、ミュータントを武器として悪用する組織に狙われながら、北の国境にあるという子供たちの楽園を目指す。
シリーズの知識がないので、爪でザクザク切りまくる残酷過ぎる描写にびっくり。あまりに粗暴で冷酷。だからこそ、育ててくれたプロフェッサーや、自らの遺伝子から作られたローラ、道中で巻き添えになっちゃう田舎暮らしの一家に示す、不器用な愛情が染みるんだろうなあ。なんで放っておいてくれないんだよお、でも傷ついても傷ついても立ち上がるもんね!と、これは普遍的な極道映画の味わい。ロードムービーだし、1953年の西部劇「シェーン」へのオマージュがはまり過ぎで、このへんは大人向けだからこそ。

私にとっては「レ・ミゼラブル」のジャックマンが、17年も演じたというアンチヒーローのアクション、切なさを熱演する。ちっとも可愛くないキーンの存在感も凄い。むすっとしてたのに、話し始めるところとか。さらに我儘老人スチュワートは、病身という設定のため、77歳にして10キロ減量したとか。さすがシェイクスピア俳優。ミュータントという異分子迫害の要素が、ただのダーク・エンタメではないということか。

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ガッチャマン

人気俳優を揃えたアニメの実写版。最近こういう企画が多いのは、往年のアニメファンの子供連れと、若手スターのファンとで、一定の客層が見込めるからなのかな。
確かに主要キャストには色気があるものの、人間関係が妙に子供っぽくてカタルシスに乏しく、残念。
原作は劇画タッチの絵で、今にして思えば差別されるものの苦しみをシリアスに描いていて大人っぽい印象だっただけに、もっと脚本を練ってほしかったなあ。佐藤東弥監督。録画で。

主眼は任務至上主義だった松坂桃李のケンが、仲間愛に目覚めるところなんだろうけど、綾野剛のジョージ、なんとベルクカッツェになっちゃった幼馴染みのナオミ(初音映莉子)との3角関係、そして回りでウロウロしているジュン(剛力彩芽)のジェラシー、というシーンが延々と続いちゃう。地球を救うにしては、どうにも小さい。竜の鈴木亮平は、朴訥単純一本やりだし。
ギャラクターから亡命してくるイリヤの中村獅童が、さすがの怪しさだ。

関係ないけど、映画をきっかけに関係サイトを読んだら、原作ではケンらは弱冠16歳とか18歳。しかもテストパイロットとかスナック経営(!)で自活しているっていう設定だったんだなあ。今さらながら、実は働く若者たちの物語だったとは。大人っぽいはずです。

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「GANTZ」「GANTZ PERFECT ANSWER」

奥浩哉の漫画を佐藤信介監督で実写化。前・後編を録画で。
原作は指令を受けて敵を倒しに行く「必殺仕事人のSF版」とのことだけど、んー、グロシーン満載だし、敵のあまりの強さに絶望感があって、テレビで放送して大丈夫だったのかってくらいです。

だらだら過ごしていた主人公が抱く奇妙な万能感とか、無意味な復讐の連鎖とか、テーマっぽいものは見え隠れする。だけど全体の因果関係を理解するのは、けっこう難しい。特にちょっと理屈っぽくなった後編。
戦闘シーンのスケールとスピード感、音遣いは凄い。SFなのに刀で斬り合うところも格好良くて、邦画の伝統と誇りを感じます。

主演の二宮和也、松山ケンイチのコンビは、ちょっと無駄なくらい演技派。漫画好きの同級生、吉高由里子のダサイ感じがとても可愛く、チームの事情通で残酷な高校生の本郷奏多、地下鉄で大暴れする敵役の黒服星人・綾野剛、見た目まるっきりアニメの夏菜らに存在感がありました~

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テルマエ・ロマエ

竹内英樹監督、脚本はドラマ「ジョーカー」の武藤将吾。阿部寛ら出演は濃い顔の人々。ヤマザキマリの人気漫画を実写化。機内で。 まあ、古代ローマと現代日本の、何故かお風呂同士を行き来する、という発想は面白いのかな。ヒットはめでたいことです。

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ヘルタースケルター

岡崎恭子原作、金子ありさ脚本、蜷川実花監督。沢尻エリカ、大森南朋、寺島しのぶ。試写で。

全身整形で成り上がった、スーパーモデルりりこの虚飾と破綻。お騒がせ女優の体当たり演技が話題だけど、エグイ内容の割に、絵画のような色使いの鮮やかさが前面に出た印象かな。赤い床に美しい真っ白な裸体、とかね。その分、感情表現は後退。リアルなのは、事務所社長の桃井かおりと、ゲイのメーキャップアーティスト、新井浩文がカレーを食べるシーンくらいでは。
マネジャーの恋人・綾野剛、ライバルモデルの水原希子が健闘。モデルや吉田鋼太郎さんら、ちょい出してる豪華キャストが面白い。

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クヒオ大佐

吉田大八脚本・監督。堺雅人、松雪泰子、満島ひかり。録画で。

1970年代から90年代に実在し、米軍大佐でカメハメハ大王やらエリザベス女王の末裔という奇抜な設定を使った結婚詐欺師を題材にしている。しかし内容はほとんど創作らしく、湾岸戦争当時の日米関係を背景に、情けないクヒオ大佐と日本の姿を重ねている。

とにかくクヒオさんは情けない。狙う女性は銀座のホステスを除くととても地味で、小さいお弁当屋さんを営む女性、それから田舎町で子供に科学を教えている学芸員。ホステスさんには実は英語ができないことを見抜かれちゃってるし。堺さん、なんと付け鼻ですよ。怪し過ぎ。スローテンポで脱力系のコメディなんだけど、見え見えの嘘が哀しいです。

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トランスフォーマー ダークサイド・ムーン

マイケル・ベイ監督。シャイア・ラブーフ、ロージー・ハンティントン=ホワイトリー。試写で。

車がロボットに変身するという、男の子の夢のおもちゃを主人公にしたシリーズ最終章。2時間半の3分の2ぐらいは、ワシントンやシカゴを舞台にCGの金属生命体・トランスフォーマーがド派手に暴れまくる。しかも3D。
まあ、それだけといえば、それだけ。激戦シーンは、基本は西部劇とかチャンバラなんだけど、やっぱり1体あたり数万の部品を組み合わせたというトランスフォーマーの動きにのけぞる。3Dとしては、破壊されたビルの小さい破片みたいなものや、オフィスから散乱する書類なんかが目の前をふわふわするのが面白い。

ロボットに比べると人間はおまけみたいなものとはいえ、見せ場もあって、たとえば崩れかけた高層ビルの外壁を主人公たちが滑り落ちるシーン。それからパラシュート部隊がモモンガみたいな格好で、高層ビル街を滑空するアイデアも凄い。
ヒロインのモデル出身、23歳のホワイトリーの立ち姿がものすごく綺麗。レノックス大佐のジョシュ・デュアメルは格好良いし、元エージェント・シモンズのジョン・タトゥーロも怪演ですね。

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第9地区

南ア出身コンビのニール・ブロムカンプ監督、シャールト・コプリー主演。録画で。

いやー、評判通り気持ち悪かったです。なんといってもエビに似たエイリアンの造形、だんだんエビ化していく主人公ヴィカス(「ザ・フライ」並み)、そして激しい戦闘シーン。ヨハネスブルクのスラム街で撮影したとかで、ドキュメンタリータッチでリアルに迫る。セリフもかなりアドリブらしい。
エイリアンが住む難民キャンプ第9地区のすさみ加減や、そこで間抜けなエイリアンを食い物にしているナイジェリアギャング、ヴィカスを追いつめる残忍な傭兵集団なんかの存在も、なんとも夢がない。SFとは思えませんよ。

ヴィカスがまた、とんでもない災難に遭うんだけど、やな奴なんで全然同情できない。エイリアンのクリストファー親子のほうが格好良いとは、どういうことだ。でもヨハネスブルク上空に、こ汚い宇宙船が浮かんでいる映像は凄く印象的。夢に出てきちゃいそうな映画でした~

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TSUNAMI

ユン・ジェギュン監督。ソル・ギョング、ハ・ジウォン。試写で。

リゾート地ヘウンデを津波が襲うパニック映画。巨大貨物船が縦になり、釜山のクァンタン大橋の上にコンテナが降ってきて、キム・イングォンが逃げ回るシーンが、CG合成とはいえ凄かった。水の視覚効果はハンス・ウーリック。
漁村の開発に関係する実力者の改心、別れた妻子への愛情、格好良い救助隊員の自己犠牲など、ドラマが錯綜するけど、ほぼ想定の範囲内かな。ちなみに原因が対馬の地盤地下って設定は、かなり無理があるようだけど、ちょっと怖い。

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ウィッチマウンテン 地図から消された山

アンディ・フィックマン監督。元レスラーのドゥエイン・ジョンソン、カーラ・グギノ。録画で。

ディズニーの実写映画。異星人に遭遇したタクシードライバーがオタク科学者と協力して、政府が回収した宇宙船に彼らを送り届ける。なんだか古典的な展開だなあ、と思ったら、1975年「星の国から来た仲間」のリメイクだそうです。冒頭から、アメリカ人って本当にUFO談が好きなんだなあ、と思わせる。日本でいったら幽霊話みたいな感じなのか。政府が秘密基地に隠匿してるって設定が、お約束。
ラスベガスを舞台に、飛行物体や列車もからんだ派手なカーチェイスがあるし、悪役キーラン・ハインズは重々しいんだけど、どうも全体にB級感が漂う。最後は気持ち悪いエイリアンとの、ただの殴り合いだし。さすが元レスラー。なぜか子供の姿の異星人の兄、アレクサンダー・ルドウィグの感情がこもらない感じ、上手です。

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