太陽の塔 TOWER OF THE SUN

縄文展から岡本太郎記念館の流れで、長編ドキュメンタリーを鑑賞。パルコの曽根祥子がプロデューサーを務め、公募で選ばれた監督は、映像クリエイターで1976年生まれの関根光才。
48年ぶりに塔内展示「生命の樹」が一般公開されたタイミングでのロードショーだが、制作秘話や作品解説ではない。研究者やアーティスト29人へのインタビューを構成し、監督自身が今、あまりに有名な巨大建造物に何を思うか、を語っていて興味深い。シネクイントのサービスデーで1100円。
全編を引っ張るのはやはり、塔が放つ強烈な異物感だ。1970年、「人類の進歩と調和」をテーマに6400万人を動員した国家的イベント、大阪万博にあって、岡本太郎がぶつけたメッセージはなんと「人類は進歩なんかしない」だったのだ。
パリから戻った岡本が目指した日本オリジンへの回帰、縄文土器や花巻の鹿踊り、アイヌ、沖縄を俯瞰し、塔と同時期に制作された壁画「明日の神話」を読み解く。その科学不信は、311を経験した現代日本だからこそ深い。さらには塔内部が描く壮大な生命史に、曼荼羅やチベット仏教との共鳴を見る。
登場するのは民俗学の赤坂憲雄、文芸批評の安藤礼二、人類学の中沢新一、ダンサーの菅原小春ら。いやー、やっぱりタダモノではないなあ。

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13デイズ

1962年キューバ危機を、なんとか核戦争を回避しようとするケネディの特別補佐官ケネス・オドネル(ケビン・コスナー)の視点で描く。「カクテル」のロジャー・ドナルドソン監督。録画で。

キューバ関連だし、朝鮮半島情勢の連想もあって鑑賞。家族を愛するヒーローのケビン・コスナーVS開戦を主張する軍幹部という構図が中心だ。肝心の、いかにして開戦を回避したか、はソ連の内幕を描かないとわかりにくいかな。
盛り上がるのは、ちょっと馬鹿にされてた国連大使アドレー・ユーイング・スティーブンソンが、大演説で国際社会を味方につけるところ。こういうソフトパワーは、アメリカ民主党系の理想なのかもしれない、なんて思っちゃう。ケネディが結局はオドネルよりも、実弟で司法長官のロバートのほうに、精神的に頼る感じがちょっと寂しい。

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プラダを着た悪魔

ヴォーグのカリスマ編集長、ミランダ(アナ・ウィンターがモデルとか)のもと、ジャーナリスト志望でアシスタントとなったアンドレアが奮闘するヒット作。華やかなファッションはもちろん、結局は互いに認め合う展開が痛快だ。メリル・ストリープとアン・ハサウェイの演技対決もみもの。デビッド・フランケル監督。録画で。
田舎者のアンドレアがどんどんお洒落になるのが、まず映画らしくて愉快。ミランダは相当横暴だけれど、ファッションビジネスに影響を与える実力をもち、一方で家族と軋轢を抱えている人間らしさがあって、複雑な造形だ。アンドレアが人気作家と知り合って活躍するあたりは荒唐無稽ながら、ミランダと決別する芯の強さに、意外な説得力がある。

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素晴らしきかな、人生 コラテラル・ビューティー

過酷な運命を受け入れ、生きていくことを描いた大人のファンタジー。ウィル・スミス、ケイト・ウィンスレット主演、「プラダを着た悪魔」のデヴィッド・フランケル監督。機内で。

ニューヨークのやり手広告マン(スミスが意外に渋い演技)は、幼い娘の死に直面して生活が一変、深刻な無気力に陥ってしまう。同僚のエドワード・ノートン(知的で屈折した造形がはまってる)、ウィンスレット、マイケル・ペーニャは、事務所を守るため辛い決断をして、探偵と小劇団の俳優たち(キーラ・ナイトレイ、ヘレン・ミレンら)に依頼し、ひと芝居うつが…

セントラルパークやブルックリンを背景に、静かながら意外性のある、なかなか凝ったドラマに仕上がっている。芝居を仕組んだはずの同僚たちも、それぞれ俳優に影響されて人生を変える一歩を踏み出すし、スミスが救いを求めるグループカウンセリングの主催者(ナオミ・ハリス)が誰だったのかを知って驚く。そして大詰め、俳優たちの正体にまたびっくり。

原題は「幸せのおまけ」の意味で、時に理不尽な悲劇は避けられないけれど、その後に遭遇するささやかな幸せを見逃さないで、という俳優の言葉からきている。苦くて現実的な、大人の人生訓。スミスがずっと熱中しているドミノの、壮麗なのに、あっさりと崩壊しちゃう姿が象徴的で巧い。崩れても生きている限り、また築くしかないのだ。
邦題が共通する1944年フランク・キャプラ映画とは、原題が違うから無関係なんだろうけど、イブの設定とか、ちょっと通じる要素があるのかな。

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チャイルド44

原作は英トム・ロブ・スミスの2009年「このミス」海外1位作。…と期待して観たら、ミステリー要素は消化不良で肩透かし。むしろ50年代ソ連の問答無用の理不尽さ、重苦しさが強烈だ。

リドリー・スコットらが製作したハリウッド映画だけど、監督はスウェーデンのダニエル・エスピノーサ。ボロボロになる主人公レオは「マッドマックス」のトム・ハーディ、妻ライーサに「ミレニアム」のノオミ・ラパス、盟友になる田舎町の将軍は曲者ゲイリー・オールドマン。録画で。

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マネーモンスター

ジョディ・フォスター監督、ジョージ・クルーニー製作・主演のドタバタサスペンス。ウォール街批判、富の偏在批判を持ち込みつつも、荒唐無稽なエンタテインメント作だ。機内で。

マネー番組生放送中に、おちゃらけ司会者リー(クルーニー)の推奨で大損した男カイル(ジャック・オコンネル)が、爆弾をもって立てこもり、株価操作を暴けと迫る。大騒動のなか、リーと敏腕ディレクター・パティ(ジュリア・ロバーツが超人的活躍)は、投資会社アイビスで株価暴落を引き起こした巨額損失のからくりを追及する。

スピーディーな展開で、笑いも多く、徹頭徹尾ご都合主義。とはいえ時代を感じさせる要素はある。アルゴリズム取引、超高速取引、クオンツといった流行語を散りばめているだけでなく、システムのバグって説明で何もかも片付けてないか、とか、真相究明では「スポットライト」とまるで正反対に、ネット検索と映像ハッキングを駆使しちゃうとか。

こんなマネー番組が実在するのか知らないけど、クルーニーが決して正義の味方じゃなくて、むしろ頭空っぽみたいなキャラ設定なところが巧い。アドリブ満載、数秒で勝負する反射神経、視聴者の無責任な移り気にも、懲りない鉄面皮ぶり。なかなかシニカルだなあ。

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バクマン。

大根仁監督・脚本、川村元気プロデュース。「少年ジャンプ」デビューを目指す高校生コンビの「友情、努力、勝利」の物語。荒唐無稽だけど楽しい。機内で。

主人公で描画担当の佐藤健がメヂカラを発揮し、ストーリー担当の神木隆之介もさすがの演技力だ。ライバルの天才高校生役の染谷将太が怪演し、ヒロイン小松菜奈はまさに青春ラブコメかゲーム風で可愛い。脇も曲者揃いで、桐谷健太、新井浩文、山田孝之、宮藤官九郎等々。
怒涛のマンガ執筆を表すCGも面白かった。テーマはサカナクション。

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るろうに剣心 京都大火編 伝説の最期編

コミック実写化の完結編。NHKで「ハゲタカ」「白洲次郎」「龍馬伝」を手掛けた大友啓史が監督し、全編アクションに徹した娯楽作だ。走り回る殺陣が、倍速にしか見えないです。アクション監督は香港仕込みの谷垣健治。録画で。

お話はまあ、単純で、剣心が同じ幕末の人斬りで、権力に見捨てられ、国家転覆を企む志々雄一味と、京都、そして首都をにらむ軍艦で死闘を繰り広げる。

第1作に比べると、アクションに比重がかかった分、時代の変化に悩む剣心・佐藤健の切ない魅力は半減。かわって包帯男になってさえ傑出する、志々雄・藤原竜也の声とオーラが光る。
終始くわえタバコの斎藤一の江口洋介、クールな元御庭番・蒼紫の伊勢谷友介、怪力・左之助の青木崇高が、それぞれ笑っちゃうようなアメコミばりのキャラを熱演。さすがに不死身過ぎとは思うけど。にこやかな刺客・宗次郎の神木隆之介、滝藤賢一、三浦涼介、寡黙な兵隊・眞島秀和から御庭番ボスの田中珉に至るまで、皆さんバトルに次ぐバトルです。
そんな殺伐としたなかで、ほんの数分のエピソードなのに、ずっと生への執念を象徴する窪田正孝が存在感を示し、女優陣では武井咲、土屋太鳳、高橋メアリージュンが可愛い。蒼井優はもう貫禄の領域ですねえ。
師匠の福山雅治は、アニメキャラというより福山にしか見えなくて、ちょっと興ざめ。ワルの伊藤博文・小澤征悦が安定してます。

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AKIRA

大友克洋がカリスマ的SFコミックを、自ら監督して劇場アニメ化。共同脚本は橋本以蔵。鉄雄がむくむく巨大化し、機械と結合していくあたりの気持ち悪さが、いま見てもぶっちぎりに独創的だ。こんな映像、よく思いつくなあ。しかも1988年製作とは! 録画で。

物語は新型爆弾による崩壊後のネオ東京。なんと2020年に五輪を控えているという設定だ。
不良バイクチームの鉄雄が危険な超能力に目覚めてしまい、五輪スタジアムで暴れまくり、リーダーの金田、ゲリラ組織の少女ケイが立ち向かう。シュールだなあ。そしてお馴染み老人コドモの超能力者たちが、不気味にもホルマリン漬けにされていた伝説の超能力少年アキラを覚醒させ、鉄雄を葬る。

帝国の抗争とか超能力の意味とか、あまり難しい経緯はなくて、鉄雄の金田に対する切ない劣等感と、そこから生まれる破壊のイメージが強烈だ。少年なら誰の心にも、ちょっとは潜んでいそうな焦燥。
個人的にはむしろ、バイクの疾走感が素晴らしいかな。それとやっぱり、金田の不屈の不良精神。マンガらしい造形で、セリフがいちいち格好いいです。
ハリウッドで実写版の計画があるらしいけど、これを一体どう料理するのやら。

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マレフィセント

「眠れる森の美女」を思い切り改変。王女を呪うヴィラン(悪役)、マレフィセント(アンジェリーナ・ジョリー)を主役にしちゃったファンタジーだ。ディズニーさん、どうしてこうも女性を活躍させたがるのか?と疑問に思うほど。夢があるんだか、ないんだか…。
プロダクションデザイナーのスロトロンバーグが監督デビューとあって、妖精たちのCGは素晴らしい。録画で。

本作の悪役は、明快にステファン王(「第9地区」のシャールト・コプリー)だ。若き日のマレフィセントを傷つけて王位を手に入れ、復讐を恐れてどんどん人相が悪くなる。
王に裏切られ、大事な翼まで奪われた妖精マレフィセントは、怒って王女オーロラ(エル・ファニング。ダコタの妹ですね)に呪いをかける。当然でしょ。ワルモードの高まりを分かり易く表す、アンジェリーナのメーク(赤い唇とこけた頬)、堂々たる演技が秀逸です。
ところが根が善人のマレフィセントは、森の妖精3人に預けられたオーロラを愛しく思うようになり、結局、自らキスで命を救っちゃう。えー! フィリップ王子かたなし過ぎ。

蜂や木、蛙などをかたどった妖精たちの造形が面白い。マレフィセントの手下となるカラスで、終盤ではドラゴンに姿を変えるディアヴァルのサム・ライリーもいい味だ。

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