ミリオンダラー・ベイビー
言わずとしれた2004年アカデミー作品賞の一本を、録画で観た。クリント・イーストウッド監督、ポール・ハギス脚本。
クリント・イーストウッド、ヒラリー・スワンク、モーガン・フリーマンの演技対決。尊厳死を扱った幕切れには正直、納得できないけれど、悲しい結末に至るまでの心の動きが、本当に丁寧に丁寧に描かれていて、胸に染みいる。
特に、スワンク演じるマギーが秀逸。家族の愛に恵まれず、社会的地位もカネもないし、おまけにもう若くもない。孤独なひとりの女性が、プロボクサーを目指して才能とガッツ、誇りを示す。不幸に見舞われた後に、イーストウッド演じるトレーナーのフランキーと、田舎の小屋に住んでレモンパイを焼く夢を語るシーンの、なんと残酷で、切ないことか。頑張ったのにどうしても手が届かない、ささやかな平穏。
全体に画面の陰影が濃くて、終盤、いよいよ追いつめられたフランキーと、親友スクラップ(フリーマン)が語り合うシーンなんか、もうモノクロ映画。スクラップにはフランキーの悲しい決意がわかっているんだなあ。
決して重苦しいばかりではなく、テンポの良さ、ユーモアを散りばめることも忘れていない。やっぱり巧いです。
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