翔んで埼玉

2019年の話題作を録画で。1982-83年の魔夜峰央の原作を、「のだめ」「テルマエ・ロマエ」の武内英樹が実写化。
古臭くバカバカしい埼玉ネタを、全力で作ったところが凄い。埼玉対千葉の大仰な関ヶ原シーン(出身著名人合戦)など、爆笑。
主演は二階堂ふみ、GACKT。伊勢谷友介、京本政樹、麿赤兒らが楽しそうに怪演し、サブストーリーの現代パートも麻生久美子、島崎遥香、成田凌と豪華です。

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七つの会議

池井戸潤の日経電子版での連載を、おなじみ福澤克雄が映画化。謎解きはしっかりしてるし、豪華キャストなんだけど、主役・八角が野村萬斎で、いくらクセモノの設定とはいえ、とても一般人には見えず残念。サラリーマンの戦場=会議、不作為の罪、といったテーマも、わかりにくかったかな。機内で。
中堅電機メーカーで、何故か生き残っているグウタラ社員をめぐる騒動から、ネジをめぐる不祥事が浮かび上がっていく。裏のある部長の香川照之がさすがに上手く、開き直ってドーナツ販売を始める朝倉あきがカワイイ。できる男から一転して弱気になっちゃう片岡愛之助、平凡だけど芯がある及川光博もよかった。

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キングダム

人気漫画の実写映画化を機内で。バトルシーンが売り物で、ゲームっぽいものの、どでかい中国の統一という野望を本気で目指す若者たちのスケール感が心地いい。「GANTZ」とかの佐藤信介監督。
時は乱世の中国春秋時代。大将軍を夢見る下僕の信(山﨑賢人)が、後に始皇帝となる嬴政(えいせい、吉沢亮がクールに)に仕え、王位奪還のため戦う。
山崎の直情ぶりはいかにも漫画なんだけど、持ち前の爽やかな目ヂカラでひきつけちゃう。アクションも格好いい。山民族王・楊端和の長澤まさみが痛快で、秦の6大将軍の1人、王騎の大沢たかおがなかなかの怪演だ。敵役の弟・成蟜(せいきょう)は曲者・本郷奏多、壮絶なバトルを演じる左慈には坂口拓。

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クローズEXPLODE

少年漫画原作のシリーズ第3作を録画で。授業は一切やってない廃墟のような高校で、暴れ馬だの狂犬だの、異形の不良同士が全編ただ訳もなく殴り合う。ぐちゃぐちゃなんだけど、喧嘩はしても暴力団にはなるなと、一線をひいてるのが面白い。
ゴミ処理場とかの戦闘シーンを観る映画なのかな。そのへんの評価はわかりません。監督は豊田利晃。
素顔がわからないようなキャラもいるものの、若手俳優の振り切れた造形に着目。なにしろ主演がクール東出昌大、同じ高校のライバルが早乙女太一、柿澤勇人、曲者・遠藤雄弥、別の高校の抗争相手が岩田剛典、切ない永山絢斗と揃えてます。中でもやっぱり、勝地涼と柳楽優弥の存在感が突出してたな。

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太陽の塔 TOWER OF THE SUN

縄文展から岡本太郎記念館の流れで、長編ドキュメンタリーを鑑賞。パルコの曽根祥子がプロデューサーを務め、公募で選ばれた監督は、映像クリエイターで1976年生まれの関根光才。
48年ぶりに塔内展示「生命の樹」が一般公開されたタイミングでのロードショーだが、制作秘話や作品解説ではない。研究者やアーティスト29人へのインタビューを構成し、監督自身が今、あまりに有名な巨大建造物に何を思うか、を語っていて興味深い。シネクイントのサービスデーで1100円。
全編を引っ張るのはやはり、塔が放つ強烈な異物感だ。1970年、「人類の進歩と調和」をテーマに6400万人を動員した国家的イベント、大阪万博にあって、岡本太郎がぶつけたメッセージはなんと「人類は進歩なんかしない」だったのだ。
パリから戻った岡本が目指した日本オリジンへの回帰、縄文土器や花巻の鹿踊り、アイヌ、沖縄を俯瞰し、塔と同時期に制作された壁画「明日の神話」を読み解く。その科学不信は、311を経験した現代日本だからこそ深い。さらには塔内部が描く壮大な生命史に、曼荼羅やチベット仏教との共鳴を見る。
登場するのは民俗学の赤坂憲雄、文芸批評の安藤礼二、人類学の中沢新一、ダンサーの菅原小春ら。いやー、やっぱりタダモノではないなあ。

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無頼漢

1970年という騒乱の時代を感じさせる異色の時代劇。なんと寺山修司脚本、篠田正浩監督だ。録画で。
ベースの河竹黙阿弥「天衣紛上野初花」(くもに まごう うえのの はつはな)は痛快義賊もので、海老蔵の格好いい「河内山」や菊五郎の粋な「直侍」を観たことがある。
しかしそこは寺山修司。「悪を倒せるのは無頼漢だけ」「権力は倒れない、ただ交代するだけ」という名台詞に、強烈な反骨と虚無が横溢。映像は大詰めの花火まで極彩色、棺桶屋の槌の音がジャズのリズムを刻んじゃう。アバンギャルドだなあ。
お話も悪党、ごろつきだらけで、負のエネルギーが強烈。猿若町あたりの遊び人・直次郎は年老いた母を大川に投げ捨てるわ、その母がしぶとく舞い戻っても夢だと思って寝ちゃうわ、もう無茶苦茶。仲代達矢の暗い個性がはまってる。
ほかにもワルの商人に渡辺文雄、殺し屋に米倉斉加年、前科者に小沢昭一、錯乱殿様に中村敦夫と曲者揃い。河内山の丹波哲郎が正統派に見えます。綺麗どころは花魁の岩下志麻、町娘に太地喜和子(若い!)。ちょい役の近習頭はなんと蜷川幸雄。醜い母の市川翠扇は九代目團十郎の孫で、新派の女優だったんですね。

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彼らが本気で編むときは、

荻上直子監督・脚本の佳作。ごつい生田斗真が、まさかの性別適合手術を受けたトランスジェンダーの女性リンコを飄々と好演。性をテーマとしつつ、それぞれの親子の歪みと自立、それでも愛おしい母親という存在を、丹念に描いてます。録画で。

11歳のトモ(柿原りんか)はネグレクトにあい、叔父マキオ(桐谷健太)を訪ねると、リンコと本気で同居していた… 3人が暮らし始める団地の一室の揺れる白いカーテンとか、リンコが無念をぶつける大量の編み物のフワフワした感じ、キャラ弁、糸電話なんかが、とても優しい。桜から鯉のぼりに移りゆく普通の郊外の季節感、バイオリンを習ってるけど、トランスジェンダーに悩む友達(込江海翔)が、母(小池栄子)に追い詰められちゃうシーンの激しい雨など、舞台装置も効果的。

生意気なりんかをはじめ、俳優はみな達者だ。身勝手な母にミムラ、夫の浮気に苦しめられた姉弟の母にリリィ、りんかの気風の良い母に田中美佐子、その再婚相手に柏原収史、さらにはリンコの男っぽい同僚ヘルパーに門脇麦、入居者に品川徹、児童相談所職員に江口のりこと、よくぞ揃えたキャスティングです。リリィは遺作なんですね。

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劇場版MOZU

2014年にTBS、WOWOWの連携ドラマで話題になった、逢坂剛原作のアクション。テレビも相当だったけど、ひたすら残虐シーンが続いて、ストーリーそっちのけだ。「海猿」などの羽住英一郎監督。

とにかく主要登場人物の不死身ぶりが凄い。満身創痍でもクールにくわえ煙草の倉木(西島秀俊)はもちろん、西部劇のような相棒、大杉(香川照之)が驚異の粘りだ。
これでもかと登場する無茶キャラの中では、東(長谷川博己)が意味不明にド派手なカーチェイスを披露し、突出してキレキレ。人非人過ぎる権藤(松坂桃李)や、格好つけてる高柳(伊勢谷友介)が新キャラとして登場したけど、押され気味です。お馴染み新谷和彦(池松壮亮)の登場は、ちょっと唐突だったかな。赤星(真木よう子)は変わらず可愛い。ほかに村西役の阿部力ら。

画面を覆う水滴や雨、燃え上がるビル屋上など、映像は面白いし、フィリピンロケのスラムも強烈だ。ただお話としては、謎のダルマ(ビートたけし)に案外あっさり到達。勿体つけてたドラマ版に比べると、拍子抜けかな。テーマは国家的犯罪というより、家族愛でした。

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君の名は。

2016年最大のヒット作を劇場で。新海誠脚本・監督の長編アニメで、高校生の切ないラブストーリー。企画・プロデュースは川村元気。
2008年に観た「秒速5センチメートル」から変わらない、驚異的に美しい映像は期待通り。東京・四谷、そして飛騨の様々な風景から、つややかな組紐まで。「ロケ地」巡りが流行るほどのリアルさが、ハリウッドの派手で安易なゲーム風CGを凌駕し、丁寧な作り込みの力を見せつける。

都会に住む男子高校生・瀧(神木隆之介)と、田舎の女子高校・三葉(上白石萌音)が時折、眠っている間に入れ替わり始める。前半は1982年の名作「転校生」風のコメディで、若いふたりの戸惑いと、徐々に心が通い合っていくさまが可愛らしい。スマホで情報を共有していくのが、いまどき。
後半は雰囲気が変わって、意外にも理不尽な大規模災害と、必死に大事な人を救おうともがく怒涛のスペクタクル。そしてパラレルワールドを経て、ラストの抒情がジンとさせる。

強引に泣かせる展開はなく、随所に散りばめられた、ちりちりする感情が巧い。繰り返される扉が閉まるシーンは、観る者に思い通りにならない現実を突きつけるし、「お前は誰だ」という問いは、入れ替わりを表すと同時に、青春期の惑いを想起させる。親しいはずの人の名前がぱっと出てこないもどかしさは、大人になってから思い出そうとする、幼い日々の記憶に重なる。それでも大事な人には必ず、たどり着けるのだ。

神木が切なく、瀧のバイト先の先輩・奥寺さんの長澤まさみもいい味。ロックバンド「RADWIMPS」の楽曲が染みる。巫女シーンの振付は中村壱太郎。

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シン・ゴジラ

話題の12年ぶり和製ゴジラを、「新世紀エヴァンゲリオン」の庵野秀明総監督・脚本、「進撃の巨人」の樋口真嗣監督・特技監督で。徹底して細かく、かつドライな味わいが、古風でいい。ゲームとファンタジーが幅を利かすハリウッドCGとは明確に一線を画し、安直な庶民の人間ドラマも一切排除した、危機管理シミュレーション映画だ。劇場で。

巨大で、急速に進化する「完全生物」ゴジラが突如、東京に出現。拡散を恐れた米国の主導で、国連多国籍軍は日本への核攻撃を決議する。これを何とか回避しようと、若い政治家(長谷川博己、竹野内豊、松尾諭)と官僚(高良健吾)、米大統領特使(石原さとみ)らは、ゴジラ出現を予見した学者(岡本喜八=写真)の遺稿を解読し、決死の「ヤシオリ作戦」を断行する…

なんといっても、情報をぎっしり詰め込んだ作り込みが見事だ。早口でまくしたてていた元素変換とか極限環境微生物って? ちらっと出ていた人物や組織の背景は? 消化不良というより、もう一度見たい、ディテールを語り合いたい、自分でスピンアウトを作りたい、と思わせちゃう。まさに王道カルト。

古めかしいタイトルデザインやサントラは、反核メッセージをこめたという1954年の第一作を彷彿とさせ、骨太のイメージを盛り上げる。ゴジラという存在は、何も意思表示せず、街を破壊しながら、ただ歩くだけ。駆け引き無しの不気味さが、危機に瀕した人間たちの無力加減を際立たせる。

主要登場人物の造形は、なかなか一筋縄でいかない。若い長谷川らは使命感に燃えて格好いい一方、鼻持ちならないエリートでもあり、権力への野心を隠さない。高齢の政治家たち(大杉漣、柄本明、余貴美子、平泉成)は、想定外続きの事態に対処できず、情けない一方で、大詰めでは意外に決断力、行動力を発揮して頼りになる。決して単純な二分法ではない。

シンプルに「いい役」なのは、長谷川率いる「巨災対」のメンバー(津田寛治、高橋一生、塚本晋也、そしてリケジョの市川実日子)か。各官庁のはみ出し者たちが、偏った専門知識と前例無視の言動で大活躍する、という設定は、オタク心をくすぐり、痛快だ。リアルな会議風景なども、二マリとさせる。

それにしてもキャストは総勢300人超、なんと小出恵介も、斎藤工も、古田新太、吉田鋼太郎さえもほんのチョイ役だ。贅沢だなあ。CGチームやロケ協力などの長大なエンドロールのなかで、主役ゴジラの和風モーションキャプチャーを担当したという野村萬斎の名前が、存在感を放っていた。

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