天気の子
アニメ続きですが、新海誠監督・脚本のヒット作を録画で。
主役はとにかく、降って降って降り続ける雨だ。全編を通して、画面を埋める水の表現が素晴らしい。ツブツブの躍動とはかなさ、ドカ降りの暴力性、ひたひたと押し寄せ、覆い尽くす存在感。アジア感覚なのかなあ。
もちろん水を引き立てる、いつもながら精緻このうえない雑雑した風景、廃ビルだの室外機だのが涙モノです。
ストーリーは相変わらず、なんだか深い。大都会東京で、家族が欠落した少年少女が、周囲への気遣いよりも、力強く生き抜くことを選択する。
前半はコミカルな成長物語で、家出少年・穂高(醍醐虎汰朗)が須賀(小栗旬)と夏美(本田翼)の弱小編集プロに潜り込み、怪しいオカルト取材に走り回りながら、「晴れ女」陽菜(森七菜)とのバイトで恋を育む。ほのぼのしていて、モテモテの弟・凪(吉柳咲良)のキャラが秀逸。
しかし後半、警察に追われて始めてからはがらりと様相を変え、スケールの大きい疾走と、積乱雲を突き抜ける飛翔、エモーショナルなRADWINPSのメロディーにのみ込まれる。
ヘラヘラしていた須賀が思わず流す涙、そして何故か窓を開けて、オフィスを水浸しにしちゃうシーンに不意をつかれる。指輪とか、いろいろ背景を解釈できるんだろうけど、ここはもう「会いたい」という思いの切実さに感動。「大人になる」って、そういうことでありたい。
「君の名は。」のキャラ(神木隆之介、上白石萌音、成田凌ら)も登場。キーになる気象神社の架空の天井画は、山本二三だそうです。「ラピュタ」など美術監督の草分けで、「二三雲」というネーミングがあるとか。ははあ。
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