« 2018年3月 | トップページ | 2018年10月 »

2018年6月

無頼漢

1970年という騒乱の時代を感じさせる異色の時代劇。なんと寺山修司脚本、篠田正浩監督だ。録画で。
ベースの河竹黙阿弥「天衣紛上野初花」(くもに まごう うえのの はつはな)は痛快義賊もので、海老蔵の格好いい「河内山」や菊五郎の粋な「直侍」を観たことがある。
しかしそこは寺山修司。「悪を倒せるのは無頼漢だけ」「権力は倒れない、ただ交代するだけ」という名台詞に、強烈な反骨と虚無が横溢。映像は大詰めの花火まで極彩色、棺桶屋の槌の音がジャズのリズムを刻んじゃう。アバンギャルドだなあ。
お話も悪党、ごろつきだらけで、負のエネルギーが強烈。猿若町あたりの遊び人・直次郎は年老いた母を大川に投げ捨てるわ、その母がしぶとく舞い戻っても夢だと思って寝ちゃうわ、もう無茶苦茶。仲代達矢の暗い個性がはまってる。
ほかにもワルの商人に渡辺文雄、殺し屋に米倉斉加年、前科者に小沢昭一、錯乱殿様に中村敦夫と曲者揃い。河内山の丹波哲郎が正統派に見えます。綺麗どころは花魁の岩下志麻、町娘に太地喜和子(若い!)。ちょい役の近習頭はなんと蜷川幸雄。醜い母の市川翠扇は九代目團十郎の孫で、新派の女優だったんですね。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2018年3月 | トップページ | 2018年10月 »