君の名は。
2016年最大のヒット作を劇場で。新海誠脚本・監督の長編アニメで、高校生の切ないラブストーリー。企画・プロデュースは川村元気。
2008年に観た「秒速5センチメートル」から変わらない、驚異的に美しい映像は期待通り。東京・四谷、そして飛騨の様々な風景から、つややかな組紐まで。「ロケ地」巡りが流行るほどのリアルさが、ハリウッドの派手で安易なゲーム風CGを凌駕し、丁寧な作り込みの力を見せつける。
都会に住む男子高校生・瀧(神木隆之介)と、田舎の女子高校・三葉(上白石萌音)が時折、眠っている間に入れ替わり始める。前半は1982年の名作「転校生」風のコメディで、若いふたりの戸惑いと、徐々に心が通い合っていくさまが可愛らしい。スマホで情報を共有していくのが、いまどき。
後半は雰囲気が変わって、意外にも理不尽な大規模災害と、必死に大事な人を救おうともがく怒涛のスペクタクル。そしてパラレルワールドを経て、ラストの抒情がジンとさせる。
強引に泣かせる展開はなく、随所に散りばめられた、ちりちりする感情が巧い。繰り返される扉が閉まるシーンは、観る者に思い通りにならない現実を突きつけるし、「お前は誰だ」という問いは、入れ替わりを表すと同時に、青春期の惑いを想起させる。親しいはずの人の名前がぱっと出てこないもどかしさは、大人になってから思い出そうとする、幼い日々の記憶に重なる。それでも大事な人には必ず、たどり着けるのだ。
神木が切なく、瀧のバイト先の先輩・奥寺さんの長澤まさみもいい味。ロックバンド「RADWIMPS」の楽曲が染みる。巫女シーンの振付は中村壱太郎。
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