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2015年11月

最後の忠臣蔵

忠臣蔵外伝で、討ち入りを生き残ってしまった武士の悲哀を描いた、しみじみ時代劇。原作・池宮彰一郎、脚色・田中陽蔵、監督・杉田成道、撮影・長沼六男。ワーナーのローカルプロダクション本格参入の第一弾だったそうです。録画で。

キャストがはまり役で、主人公・瀬尾孫左衛門は、凡人の苦悩を描いたら右に出る者はいない役所広司。討ち入り前日に逃亡したとの汚名に耐え、実は大石内蔵助の命で隠し子・可音(桜庭みなみが可愛い)を守り育てる。忠義を揺らす2人の淡い恋。見守るゆうの安田成美は、島原で全盛を誇った夕霧太夫という設定で、なかなか色っぽい。
やはり大石から名誉の切腹を許されず、生き残って遺族を尋ね歩いている寺坂吉右衛門は佐藤浩市。その大石は片岡仁左衛門で、つくづく残酷なんだけど、この人ならと思わせちゃう。そして可音を見染める豪商・茶屋四郎次郎の息子に山本耕史、終盤で田中邦衛もちらり登場。

映像の作り込みがさすがに丁寧で、竹林や川、芝居小屋など、江戸の風景がいちいち美しい。
またセリフを抑制し、文楽「曽根崎心中」の映像を使って、心理を深堀りしているのが、端正でなかなか効果的だ。竹本座のロケはこんぴら歌舞伎の金丸座、なんと床は咲大夫・宗助・清志郎、黒衣の人形遣いは勘十郎・簑二郎と贅沢。こんな仕事もしてたんですねえ。

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るろうに剣心 京都大火編 伝説の最期編

コミック実写化の完結編。NHKで「ハゲタカ」「白洲次郎」「龍馬伝」を手掛けた大友啓史が監督し、全編アクションに徹した娯楽作だ。走り回る殺陣が、倍速にしか見えないです。アクション監督は香港仕込みの谷垣健治。録画で。

お話はまあ、単純で、剣心が同じ幕末の人斬りで、権力に見捨てられ、国家転覆を企む志々雄一味と、京都、そして首都をにらむ軍艦で死闘を繰り広げる。

第1作に比べると、アクションに比重がかかった分、時代の変化に悩む剣心・佐藤健の切ない魅力は半減。かわって包帯男になってさえ傑出する、志々雄・藤原竜也の声とオーラが光る。
終始くわえタバコの斎藤一の江口洋介、クールな元御庭番・蒼紫の伊勢谷友介、怪力・左之助の青木崇高が、それぞれ笑っちゃうようなアメコミばりのキャラを熱演。さすがに不死身過ぎとは思うけど。にこやかな刺客・宗次郎の神木隆之介、滝藤賢一、三浦涼介、寡黙な兵隊・眞島秀和から御庭番ボスの田中珉に至るまで、皆さんバトルに次ぐバトルです。
そんな殺伐としたなかで、ほんの数分のエピソードなのに、ずっと生への執念を象徴する窪田正孝が存在感を示し、女優陣では武井咲、土屋太鳳、高橋メアリージュンが可愛い。蒼井優はもう貫禄の領域ですねえ。
師匠の福山雅治は、アニメキャラというより福山にしか見えなくて、ちょっと興ざめ。ワルの伊藤博文・小澤征悦が安定してます。

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