最後の忠臣蔵
忠臣蔵外伝で、討ち入りを生き残ってしまった武士の悲哀を描いた、しみじみ時代劇。原作・池宮彰一郎、脚色・田中陽蔵、監督・杉田成道、撮影・長沼六男。ワーナーのローカルプロダクション本格参入の第一弾だったそうです。録画で。
キャストがはまり役で、主人公・瀬尾孫左衛門は、凡人の苦悩を描いたら右に出る者はいない役所広司。討ち入り前日に逃亡したとの汚名に耐え、実は大石内蔵助の命で隠し子・可音(桜庭みなみが可愛い)を守り育てる。忠義を揺らす2人の淡い恋。見守るゆうの安田成美は、島原で全盛を誇った夕霧太夫という設定で、なかなか色っぽい。
やはり大石から名誉の切腹を許されず、生き残って遺族を尋ね歩いている寺坂吉右衛門は佐藤浩市。その大石は片岡仁左衛門で、つくづく残酷なんだけど、この人ならと思わせちゃう。そして可音を見染める豪商・茶屋四郎次郎の息子に山本耕史、終盤で田中邦衛もちらり登場。
映像の作り込みがさすがに丁寧で、竹林や川、芝居小屋など、江戸の風景がいちいち美しい。
またセリフを抑制し、文楽「曽根崎心中」の映像を使って、心理を深堀りしているのが、端正でなかなか効果的だ。竹本座のロケはこんぴら歌舞伎の金丸座、なんと床は咲大夫・宗助・清志郎、黒衣の人形遣いは勘十郎・簑二郎と贅沢。こんな仕事もしてたんですねえ。
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