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2013年1月

フライト

ロバート・ゼメキス監督、ジョン・ゲイティンズ脚本。デンゼル・ワシントン主演。試写で。

制御不能に陥ったローカル便ジェットを、奇跡的に不時着させたウィトカー機長。確かに腕はいいが、実は普段から素行には問題があった。ヒーローと持ち上げられた後に、疑惑が浮上する。

とにかく導入部分の事故シーンがとんでもなく怖い。「フォレストガンプ」の監督とあって、安っぽいCGを感じさせない大迫力で、手に汗握る。
そして事故の後は一転して、むしろ淡々とした人間劇が展開し、深みがある。事故の真相を巡って、からみあう航空会社や組合の思惑、家族の情愛。登場人物誰もが、単純な悪人でも善人でもない。知的イメージをかなぐり捨てた名優デンゼルはじめ、弁護士役のドン・チードル、チャーリー・アンダーソンらの演技に説得力があって、お説教臭くない。特にウィトカーの悪友ジョン・グッドマンの、あっけらかんとした怪しさが、テーマの深刻さと絶妙のバランスを醸し出す。

結局、自分の主人は世間でも義理がある仕事仲間でも家族でさえもない。自分なのだ。遠くの空から聞こえてくる、航空機の飛行音が胸にしみるなあ。

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レ・ミゼラブル

トム・フーバー監督。キャメロン・マッキントッシュによる1985年初演の大河ミュージカルを映画化。
豪華キャストはヒュー・ジャックマン(ジャン・バルジャン)、ラッセル・クロウ(ジャベール)、コルム・ウィルキンソン(司祭)、アン・ハサウェイ(ファンティーヌ)、アマンダ・サイフリッド(コゼット)、エディ・レッドメイン(マリウス)、サマンサ・バークス(エボニーヌ)。158分の長尺だけど、新宿ピカデリーのプラチナシート、シャンパン付きを奮発したので長さを感じなかった。

意外にも全編ほぼセリフ無し。フルオーケストラで俳優陣が歌いまくる。さすがの名曲ぞろいで、司祭がバルジャンに燭台を差し出すあたりで、もうウルウルだ。
本当に悲惨なファンティーヌの独唱が染みたし、コゼットの少女時代イザベル・アレンが可愛い。テナルディエ夫婦のワルぶりが気持ちよく弾け、報われない雨中のエボニーヌが切ない。そして1848年「6月蜂起」の高揚と若者たちの挫折、シャベールの人間的な苦悩とテンポ良く進み、バルジャンの旅立ちでまた涙…

前評判通り、俳優陣がしっかり歌っているし、衣装やセットなどCG臭くない丁寧な造り込み、縦の移動を多用したカメラワークのスペクタクルも見応えがある。「民衆の歌」を口ずさみながら劇場を後にしました。

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