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マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙

メリル・ストリープ主演。とにかくこれに尽きます。監督は「マンマ・ミーア!」でもコンビを組んだフィリダ・ロイド。試写で。

あまりに有名な元英国首相の半生記なんだけど、政界の内幕もさることながら、年老いてしまった現在のサッチャーを、これでもかと描いているのが凄い。特殊メークの見事な老けぶり、奇矯な行動、でもふっと正気になった時のスピーチは素晴らしくて、その落差がよけい哀しい。仕草から微妙な瞳の揺れまで、リアルさに圧倒されます。メリルったら、巧すぎ。怪物ですね。

政治家としてのサッチャーの足跡の部分はテンポ良く描いていて、そのへんの評価もけっこうシビアです。テロとの戦いやフォークランド紛争の決断は英雄的なんだけど、サッチャリズムの影の部分とか、任期終盤の専横ぶりとかにも容赦なく触れています。よく親族がこのシナリオを許したなあ、とさえ思うけれど、そういうシビアさがあるからこそ、根っこのところの、女性差別や階級差別に立ち向かった人間としてのサッチャーの魅力が、真実味を持って浮かび上がってます。拍手。
夫は渋いジム・ブロードベント、娘にオリヴィア・コールマン、ジェフリー・ハウにアンソニー・ヘッド。

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